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PFOS/PFOAの分析、および関連規制

概要

 PFOS/PFOAおよびそれらの関連物質は、撥水撥油剤、界面活性剤、表面処理剤、半導体用反射防止剤、金属メッキ処理剤、防汚剤などとして各種材料や薬品、グリースなどに添加剤として用いられてきましたが、近年、地球規模での環境残留性や生体蓄積性が明らかとなったために国際的な規制が始まっています。

 EUでは、2006年12月27日に欧州指令(2006/122/EC)が告示され、PFOSの販売や使用が制限されています。米国では、米国環境保護庁(EPA)が2006年1月25日に、PFOA関連メーカー8社にPFOAの削減に関する責務プログラム(2010/15 PFOA Stewardship Program)を要請しました。
 日本では、「PFOSとその塩およびPFOSF」および「PFOAとその塩」および「PFHxS若しくはその異性体又はこれらの塩」が化審法の第一種特定化学物質に指定され、特定の用途を除き製造・輸入・使用等が禁止されています。

基準値あるいは求められる定量下限値(欧州指令(2006/122/EC)特例あり)

織物及びコーティングされた製品 1μg/m2
半仕上げ製品・品物 0.1wt%
物質及び調剤 0.005wt%

分析・試験項目

測定物質 CAS No.
ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS) :CF3-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-SO3H 1763-23-1
ペルフルオロオクタン酸(PFOA) :CF3-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-COOH 335-67-1
ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS):CF3-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-SO3H 355-46-4

 当社は、環境試料中のパーフルオロ化合物(PFCs)の分析方法の確立に取り組んでいます。
 また、製品中のPFOS/PFOA/PFHxSの含有量分析では、高感度で、選択性の高いLC-MS/MS法による分析の実績が多数あります。

REACH規則によりPFOAが規制強化されます!

法規制・規格

REACH規則

 2017年6月14日、REACH規則(* Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)の制限対象物質リスト(付属書 XVII)が改正され、PFOAとその塩およびPFOA関連物質が追加されました。2018年にはPFOAは POPs規則を優先するということでREACH規則のリストからは削除され、PFOAより炭素数の多い「直鎖、分岐鎖パーフルオロカルボン酸(CnF2n+1COOH、n=8, 9, 10, 11, 12, 13 (C9-C14 PFCAs))とその塩およびその組み合わせを含む」という形に置き換えられました。
 これにより2023年2月25日以降、化合物としてPFCAの製造と上市を禁止するとともに、PFCAが25ppbを超えて含有する、またはPFCA関連物質が合計260ppbを超えて含有する混合物や、成形品の製造時使用と上市が原則禁止されます。

PFOA関連の規制(POPs規則)

化学物質 範囲・用途 使用制限
PFOA(CAS No.335-67-1)と その塩およびPFOA関連物質 (perfluorooctanoic acid,its salts and PFOA-related substances)
  • 化学物質として製造または上市する
禁止
  • 他の化学物質の構成要素として使用または上市する
  • 混合物に使用、またはそれを上市する
  • 成形品の中もしくは成形品の一部の中に使用、またはそれを上市する
●PFOAとその塩:濃度25ppbを超える含有
●PFOA関連物質:合わせて濃度1000ppbを超える含有

 

長鎖PFCA関連の規制(REACH規則)

化学物質 範囲・用途 付属書XVIIに規定される使用制限
C9-C14 PFCAsと その塩および(perfluorocarboxylic acids containing 9 to 14 carbon atoms in the chain (C9-C14 PFCAs), their salts and C9-C14 PFCA-related substances)
  • 化学物質として製造または上市する
禁止
  • 他の化学物質の構成要素として使用または上市する
  • 混合物に使用、またはそれを上市する
  • 成形品の中もしくは成形品の一部の中に使用、またはそれを上市する
長鎖PFCAとその塩:濃度25ppbを超える含有
長鎖PFCA関連物質:合わせて濃度260ppbを超える含有

POPs条約と国内

 POPs条約では、「PFOAとその塩及びPFOA関連物質」は、2019年4月~5月に開催された第9回締約国会議(COP9)において附属書A(廃絶)に追加することが決定されました。
 「PFHxSとその塩及びPFHxS関連物質」は、2022年6月に開催された第10回締約国会議(COP10)において、附属書A(廃絶)に追加することが決定されました。
 これに伴い、国内でも「PFOAとその塩」、「PFHxS若しくはその異性体又はこれらの塩」は化審法の第一種特定化学物質に指定されました。「PFOA関連物質」については、今後第一種特定化学物質に指定される予定です。

※業務案内 環境汚染物質の分析 「POPsなど有機ハロゲン化合物の分析」の「PFOS/PFOA/PFHxS の規制および分析について」もご覧ください。

PFOA関連物質について

 PFOA関連物質は、REACH規則において対象範囲が決定されておらず、POPs条約COP9においても当該物質の網羅的な整理は困難とされています。
 このため、「PFOA関連物質」の 第一種特定化学物質への指定は2024年以降の施行となる見込みです。

 国内外の化学物質規制に対応するためには、「PFOAとその塩」を優先して調査・対応されることをおすすめします。

IECの対応

 2019年7月22日、IEC62474のデータベース(物質リスト)の改訂版(D18.00)及びExemption Listsが、IEC62474のWebに公開されました。

 欧州のPFOA規制は、従来はREACH規則によることになっていましたが、POPs規則に転換することになり官報交付されました(2020年6月)。POPs規則によるPFOA制限の開始日は、従来のREACHの制限開始日と同じく7月4日で、規制濃度も変更はなく25ppbです。医療機器については、施行日が5カ月猶予され12月4日上市分から制限されます。

当社は、IECが指定するPFOAとその塩(5成分)をLC-MS/MSで測定できることを確認しました

 ECが指定するPFOAとその塩(5成分)を高感度で、選択性の高いLC-MS/MS法により、それぞれ分析できることを確認しました。いずれの塩もPFOAとして25ppb相当濃度が定量的に分析できました。REACH規則で規制されている「PFOAとその塩」についても原理的に同様の分析法で測定が可能です。IECが指定する”PFOSとその塩”5成分以外の塩も存在すれば、一括して測定できます。
 *PFOA/PFOSおよびPFOAとその塩などの分析に関しましては試料形態、試料量により検出感度、 納期、費用に変動があります。
  別途ご相談ください。

分析・試験方法

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<PFOAとその塩:定量分析に用いる検量線例>

分析・試験装置

<PFOAとその塩:定量分析に用いる検量線例>

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02_lcms8060

分析・試験結果

<PFOAとそれぞれの塩を単独で測定したときの感度例>   各0.25 ng/mL

 

<ご注意>

  • PFOAとその塩の分析結果はPFOAとして一括で算出されます。(個別には算出されません。)
  • PFOAとその塩それぞれについて、必要感度を満たして分析できることを確認しています。
  • 試料形態、量により検出感度、納期、費用に変動があります。別途ご相談ください。

※アプリケージョンズの「グリーン調達支援」もご覧ください。

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