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島津テクノリサーチの極微量分析体制
教科書に載らない分析の話
第一話 分析装置に愛情を注ぎましょう 2013年12月17日更新
第ニ話 実験器具の取り扱いにも時代背景が 2014年1月20日更新
第三話 「未開封の試薬」は「新品」なの? 2014年2月14日更新
第四話 単位のおはなし -その1- 2014年3月18日更新
第五話 単位のおはなし -その2- 2014年4月17日更新

  単位のおはなし -その2-

 前回はSI単位の基本的な考え方、構成について述べましたが、今回は表示方法についてまとめてみましょう。
 先ずSI単位記号の表示について基本的な考え方です。小文字の直立体を基本としますが、人名に由来する単位の場合は最初の文字を大文字として表示します。

  例   長さの単位:m、物質量の単位:mol、圧力の単位:Pa

 リットルの推奨記号は数字の1との混乱を避けるためにLとされています。単位には単数、複数の区別はありません。また秒の単位をsと表示するように、s.のようなピリオドは附しません。以下の例のように一つの文章で単位記号と名称の併用は禁止事項となっています。また秒の単位としてsecのような名称の略号もSI単位では認められていません。

  例   ○:1 mは100 cmである
           ×:1メートルは100 cmである

 単位の積を表示する場合は、A・s(電気量)のように中点を挟んでそれぞれの単位を表示しますが、一般的に認知され混乱を生じさせない場合はkWh(電気量)のように表示することも認められています。逆に商で表示する場合は、kg/Lとかm・s-1のように斜線や負の指数で表示します。ただし商を表す斜線は括弧を使用しなければ繰り返して表示することはできません。

  例   ○:10 g/m3、10 g・m-3
           ×:10 g/m/m/m

 SI接頭記号ですが、前回示したように大きな数字を表すM(メガ)からY(ヨタ)については大文字で表示します。それ以外は小文字で表示をし、接頭記号と単位記号との間は空白にしません。
 また1500 mとか1.5×103mではなく1.5kmのように、量を表す数字が0.1から1000の間にはいるよう適切な接頭記号を使うようにします。ただし文章の中で比較を論じる場合は接頭記号を揃えても構わないとされています。また、mμmのように二つ以上の接頭記号を用いることはできず、nmのように表します。少しややこしいですが、10の整数乗倍の乗法による組立単位を使う場合、ただ一つの接頭記号を使用するようにします。
 例えば、10 kV・ms ではなく 10 V・s のように表示します。

 一方でkgは基本単位であるためこの事例に当てはまらず、kJ/kgのような表示が可能となります。除法の場合は、ただ一つの接頭記号を使用し、分子におくとされています。例えば10 kΩ/mm ではなく 10 MΩ/mと表示するようにします。時間に関する単位記号であるd、h、minと角度に関する単位記号°、´、´については接頭記号を附さないことになっています。
例えば2 mminではなく2×10-3 minのように表示をします。

 単位記号ではなく一般表現としてアルファベットやギリシャ文字を使用する場合は、単一文字の斜体を使うように推奨されています。
  例  濃度Cは 質量W を体積Vで除したもので、C=W/Vと表すことができる。

 量を表す数字の表し方にも次のような決まりがあります。
 SI単位記号や接頭記号の前に置かれ、その間は半角分のスペースを空けます。ただし、平面角の度、分および秒の単位記号の場合は、1°23' 45"のように数値と単位記号の間には空白はとりません。その他の注意事項として、1 m 23 cm 4 mmのように量を表す単位を二つ以上並べて表示はできません。1.234 mのように表します。

 情報を与えるような記号を単位記号に附すこともできません。例えば最大値を表現する場合、Vmax=300Vのように表示すべきでV=300Vmaxのようには表すことはできません。あるいは「銀の含有量は2 mgg/L」との表示は良いですが、「2 mg・Ag/L」のように量単位との併記はしないようになっています。範囲を表現する場合、誤読の混乱を避けるために「-」や「〜」は極力用いず、1から2 mや(1から2)mのような表示を心がけるようにします。

 この他、化学分野で良く使われる単位としてモル濃度があります。SI単位における表示はmol/m3ですが、mol/Lやmol/dm3の使用も認められています。日本薬局方では、第12改正まで M が用いられていたが、第13改正(1996年)で mol/L にあらためられています。その時にそれまで使用されていた N(規定)は使用しないことになった事も合わせてお伝えしておきます。

 一般に濃度を表す単位としてppmやppbが用いられますが、SI単位としての位置付けはありません。ただし日本国内では慣習的に用いられてきたこともあり、新計量法では法定計量単位として規定してされています。このため公的書類や薬局方でも使用されています。


 ところで皆さんは、ppmは1/1,000,000(百万分の一)でppbは1/1,000,000,000(十億分の一)の意味である事を疑った事はありませんか?
英語圏と米語圏ではppbの定義が違うので注意が必要です。billionは米語圏では10億という意味ですが、英語圏では1兆(millionの二乗の意)の意味があります。従って同じ表示でも、1/1,000,000,000(十億分の一)と解釈されるのに対し、方や1/1,000,000,000,000(一兆分の一)となってしまい、全く異なった値となるので注意が必要です。

 皆さんが細心の注意を払い、苦労して採取されたデータを取りまとめる際には、必ず数字として表す必要があります。その時、単位や数字の表示をぞんざいに扱うと実験全体の信頼性に疑いを持たれかねないことになります。
 これまでまとめてきた拙文が皆さんのお仕事に少しでもお役に立てばと願っています。


参考資料
 (1) 山川正光著、トコトンやさしい単位の本、日刊工業新聞社(2002)
 (2) JIS Z 8202:2000(ISO 1000) 量及び単位
 (3) JIS Z 8203:2000(ISO 31) 国際単位系(SI)及びその使い方





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