ICP分析法による72元素定性分析

　ICP分析法は、液体試料にどの元素が（定性）どれくらい（定量）含まれているのかを知るための分析方法です。ICP発光分光分析法とICP質量分析法があり、いずれも水溶液試料中の約70元素を一斉に測定することが可能です。固体試料の場合は、分解や抽出により水溶液にすることで、測定が可能になります。ICP発光分光分析法が不得意とする希土類などはICP質量分析法を用いた72元素定性分析が適しています。ただし、金属の主成分だけを知りたい場合など、一部の分析は、EDXによる分析の方が適している場合もあります。試料の性状、及び目的によるので、お気軽にご相談ください。

　元素組成の分析は、試料の異同識別で重要な役割を果たします。ここでは飲料水を対象に、二つの分析方法を組み合わせて、72元素の定性および濃度推定を行った例を示します。

　ICP質量分析法では、イオン化源としての誘導結合プラズマ（ICP）に水溶液試料を霧化・導入し、プラズマ中でイオン化した元素を四重極質量分析計で分離・検出することで元素分析を行います。

図2　ICP質量分析装置の構成

図3　ICP質量分析装置　7700x（Agilent）

　飲料水3種をICP発光分光分析装置およびICP質量分析装置に導入し、72元素の検出の有無を調べました。検出された元素については１点検量線法により濃度を推定しました。（表1）。

表1　飲料水の元素定性結果

注1　N.D.は下限値未満であることを表す。なお、今回は1μg/Lまでの測定とした。 

　ICP発光分光分析法とICP質量分析法を併用することで、主成分～微量成分までの幅広い濃度範囲の元素情報が得られました。
　ただし、ICP質量分析法を用いるほどの高感度分析が必要ない場合は、ICP発光分光分析法を用いた30元素定性分析もございます。
　また、定性分析に限らずICP発光分光分析法を用いた定量分析、ICP質量分析法やICPタンデム質量分析法を用いた定量分析も実施しています。もちろん、それぞれの方法を組み合わせた分析も可能です。
　試料の性状、目的により適した装置が変わります。どうぞ、お気軽にご相談ください。
 

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