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デクロランプラス(塩素系難燃剤)の分析について

概要

 デクロランプラスは、塩素系難燃剤の一種で、電気・電子部品やケーブルの被覆、建材などに広く用いられてきました。
 2023年に開催されたストックホルム条約第11回締約国会議(COP11)で、デクロランプラスはUV-328やメトキシクロルとともに附属書A(廃絶)へ追加され、国際的に製造・使用が原則禁止されました。日本でも化学物質審査規制法(化審法)の第一種特定化学物質に指定されています。

 当社は、いち早くデクロランプラスの分析方法の確立に取り組み、各媒体(環境試料、製品試料中等)における分析方法を確立しています。お気軽にご相談ください。

デクロランプラスについて

 主な使用用途は、塩素系の難燃剤とされていて、電気・電子製品、樹脂やゴムなどの難燃剤として主に用いられていました。出荷数量の合計は、2012年度以降、30~200トン程度で推移していました(第239回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会 製品含有化学物質のリスク評価より)。

法規制・規格

1.POPs条約

 デクロランプラスは、2023年5月のストックホルム条約(POPs条約)第 11 回締約国会議(COP11)にて、附属書A(廃絶)の対象物質に追加されることが決定されました。対象となる物質は、下記のデクロランプラス(syn-異性体及びanti-異性体を含む)です。

No. CAS 番号 化学物質名称 化学構造式
1 13560-89-9 1,6,7,8,9,14,15,16,17,17,18,18 - ドデカクロロペンタシクロ[12.2.1.1(6,9).0(2,13).0(5,10)]オクタデカ - 7,15 - ジエン(別名デクロランプラス)、dechlorane plus
デクロランプラス
2 135821-03-3 Syn-dechlorane plus
Syn-dechlorane plus
3 135821-74-8 Anti-dechlorane plus
Anti-dechlorane plus

2.国内での規制

 国内では、化審法において、デクロランプラスは2025年2月18日に第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入・使用の原則禁止等の措置が講じられています。
化審法では、デクロランプラスが使用されている場合に輸入することができない製品として、以下の製品が定められています。

1.潤滑油
2.樹脂に防炎性能を与えるための調製添加剤
3.電子機器及び電気機器の部品
4.シリコーンゴム
5.接着剤及びテープ

 なお、デクロランプラスは2025年2月10日より「外国為替及び外国貿易法」(外為法)に基づく輸出規制の措置が講じられていますが、2025年7月22日に経済産業省より「デクロランプラスが使用されている電子機器等の製品に係る輸出規制について」と題した文書が公開され、規制の対象は「部品」のみで、機器本体は規制対象外であることが示されました。

3.海外での規制

 EUでは、デクロランプラスは2025年5月15日にPOPs規則(Regulation (EU) 2019/1021)の付録(Annex I, Part A)に追加され、規則の発効時点で不純物濃度を1 000 mg/kg(0.1 %)以下に、30か月後に1 mg/kg (0.0001 %)以下に、と段階的な含有量制限(Unintentional Trace Contaminant)が設定されています。

POPs規則の改正
amending Regulation (EU) 2019/1021 of the European Parliament and of the Council as regards dechlorane plus
ec.europa.eu/info/law/better-regulation/have-your-say/initiatives/13888-Persistent-organic-pollutant-dechlorane-plus_en

分析・試験方法

 当社ではハロゲン系難燃剤等の測定実績で培った技術を生かし、EU規制や第一種特定化学物質に対応した1 mg/kgを評価する測定が可能です。お気軽にご相談ください。

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