概要
ダイオキシン類の分析について
概要
環境省平成30年度ダイオキシン類請負調査受注資格審査の結果
平成30年度~令和2年度に環境省が実施するダイオキシン類の請負調査の「受注資格審査」で当社は17項目(*)について受注資格があると認められました。
(*)一般環境大気、公共用水域水質、地下水質、土壌、底質、水生生物、排出ガス、排出水、ばいじん及び焼却灰その他の燃え殻、血液、食事試料、水道原水及び浄水、母乳、食品、作業環境、野生生物(試料採取除く)、臍帯(試料採取除く)
請負調査の受注資格審査の結果について (PDF)[環境省HPへ]>>
お知らせ 受注資格審査は令和元年(2020年)審査(令和2年度資格審査)を最後とし、それ以降は実施しないこととなりました。このため、令和元年度の資格審査結果及び機関一覧掲載以降における機関一覧の更新はありません。経過措置として令和2年度における資格を有する機関として掲載されている機関については、令和3年度及び令和4年度において、環境省が発注するダイオキシン類に係る環境測定における受注資格があるものとして扱います。http://www.env.go.jp/air/dioxin/index.html [環境省HPへ] |
当社は、国内最大数の高分解能GC-MSを有し、ダイオキシン類の分析法開発当初から長年ダイオキシン類の分析にたずさわってきました。そして、ダイオキシン類についてあらゆる試料・目的の分析に対応できる機関として、国内外から高い評価を得ています。
産官学の連携による共同研究や各省庁のマニュアルの作成・委員会等への参画、研究成果の発表等の実績等も豊富であり、何でも対応可能な分析機関として、様々な分析や研究支援等の相談に応じます。
ダイオキシン類の分析はぜひ当社にご用命ください。
■ダイオキシン類について
ダイオキシン類は廃棄物の燃焼過程や化学反応過程などにおいて、非意図的に生成される化学物質で、毒性が強く急性毒性・発ガン性・催奇形性・免疫毒性および生殖毒性などについて、その影響が報告されています。また、環境中では非常に安定であり、発生源はもとより、生活環境・生物・食品などに分解されずに残留していることが知られています。
毒性や残留性が高いことから、世界的規模での汚染が懸念され関連した研究もさかんで、ダイオキシン類を中心に発生防止や抑制・分解や除去・分析方法・生物影響評価などに関する研究・技術の発表の場として、毎年国際会議が開催されています。
各国では環境基準やヒトの許容1日摂取量を定め削減の努力がなされており、わが国においてもダイオキシン類対策特別措置法が施行され、国を挙げて削減への取組みが行われています。
ダイオキシン類対策特別措置法では、ダイオキシン類としてポリ塩化ジベンゾパラジオキシン (Polychlorinated dibenzo-p-dioxins:PCDDs)、ポリ塩化ジベンゾフラン(Polychlorinated dibenzo furans:PCDFs)およびコプラナ-ポリ塩化ビフェニール(Coplanar polychlorinated biphenyl:Co-PCB)を定義しています。なお、Co-PCBはダイオキシン様コプラナ-ポリ塩化ビフェニール(DL-PCB)とも呼ばれています。
ダイオキシン類とは下図に示すように、2個のベンゼン環(1~9位)に塩素を配し、2個の酸素によりこのベンゼン環が結ばれたPCDDsの75種の異性体と、同様に塩素配位のベンゼン環2個が1個の酸素により結ばれたPCDFsの135異性体、そして、PCBの209異性体のうちオルト位〔2,2’,6,6’位〕に水素(塩素が1個も配されていない)または1個の塩素が配されたCo-PCBで構成されます。
ダイオキシン類の中で、毒性が確認されているものは、〔2,3,7,8位〕の4ヶ所全てが塩素で満たされたPCDDsの7種とPCDFsの10種、そして、これにCo-PCBの12種を加えたものです。毒性をあらわす指標には、最も毒性の高い2,3,7,8-TeCDDを“1”とした場合、他のダイオキシン類の毒性がどの程度の強度であるのかを示す毒性等価係数(TEF)を用います。また、一般的にダイオキシン類の濃度を示す場合、実測濃度にTEFを乗じて求めた各異性体毎の毒性等量(TEQ)の総和が用いられます。
■毒性等価係数(TEF)について
毒性等価係数(TEF)※ | 化合物名 | TEF値 |
---|---|---|
PCDD (ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン) |
2,3,7,8-TeCDD 1,2,3,7,8-PeCDD 1,2,3,4,7,8-HxCDD 1,2,3,6,7,8-HxCDD 1,2,3,7,8,9-HxCDD 1,2,3,4,6,7,8-HpCDD OCDD |
1 1 0.1 0.1 0.1 0.01 0.0003 |
PCDF (ポリ塩化ジベンゾフラン) |
2,3,7,8-TeCDF 1,2,3,7,8-PeCDF 2,3,4,7,8-PeCDF 1,2,3,4,7,8-HxCDF 1,2,3,6,7,8-HxCDF 1,2,3,7,8,9-HxCDF 2,3,4,6,7,8-HxCDF 1,2,3,4,6,7,8-HpCDF 1,2,3,4,7,8,9-HpCDF OCDF |
0.1 0.03 0.3 0.1 0.1 0.1 0.1 0.01 0.01 0.0003 |
コプラナーPCB | 3,4,4’,5-TeCB 3,3’,4,4’-TeCB 3,3’,4,4’,5-PeCB 3,3’,4,4’,5,5’-HxCB 2,3,3’,4,4’-PeCB 2,3,4,4’,5-PeCB 2,3’,4,4’,5-PeCB 2’,3,4,4’,5-PeCB 2,3,3’,4,4’,5‐HxCB 2,3,3’,4,4’,5’-HxCB 2,3’,4,4’,5,5’-HxCB 2,3,3’,4,4’,5,5’-HpCB |
0.0003 0.0001 0.1 0.03 0.00003 0.00003 0.00003 0.00003 0.00003 0.00003 0.00003 0.00003 |
※ : 毒性等価係数はWHO-TEF2006を適用
分析・試験方法
■媒体毎の分析方法一覧
媒体 | 当社で対応可能な測定方法 |
---|---|
排ガス | JIS K 0311(2020)「排ガス中のダイオキシン類の測定方法」 |
排水 | JIS K 0312(2020)「工業用水・工場排水中のダイオキシン類の測定方法」 |
ばいじん・燃え殻・汚泥 | 「ダイオキシン類対策特別措置法施行規則」第二条第二項第一号の規定に基づき環境大臣が定める方法 (平成16年12月27日環境省告示第80号) 「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号) |
大気 | 「ダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアル」 (令和4年3月、環境省 水・大気環境局 総務課 大気環境課) |
土壌 | 「ダイオキシン類に係る土壌調査測定マニュアル」(令和4年3月、環境省 水・大気環境局 土壌環境課) |
底質 | 「ダイオキシン類に係る底質調査測定マニュアル」(令和4年3月、環境省 水・大気環境局 水環境課) |
環境水 | 「ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁(水底の底質の汚染を含む。)及び土壌の汚染に係る環境基準について」(平成11年12月 環境庁告示第68号) JIS K 0312(2020)「工業用水・工場排水中のダイオキシン類の測定方法」 |
地下水 | 同上 |
水道水 | 「水道原水及び浄水中のダイオキシン類調査マニュアル(改定版)」 (平成19年11月、厚生労働省健康局水道課) |
作業環境 | 「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策について」 (平成13年4月25日付 基発第401号)(改正 平成26年1月10日付 基発0110) 「ダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアル」 (令和4年3月、環境省 水・大気環境局 総務課 大気環境課)準拠 |
血液 | 血液中のダイオキシン類測定暫定マニュアル(平成12年12月22日、厚生省) |
母乳 | 母乳中のダイオキシン類測定暫定マニュアル(平成12年12月22日、厚生省) |
食品 | 食品中のダイオキシン類の測定方法暫定ガイドライン(平成20年厚生労働省) |
水生生物 | ダイオキシン類に係る水生生物調査暫定マニュアル(平成10年環境庁) |
関連情報
20210107