概要


牛乳および高たんぱく質飲料中の全窒素測定事例
概要
たんぱく質は三大栄養素の一つであり、食品や飼料の品質を管理する上で重要なパラメータです。
一般的なたんぱく質の測定手法として、総窒素を測定し、総窒素量に変換係数を乗じてたんぱく質含有量を求める方法があります。
このアプリケーションでは、全有機体炭素計TOC-LにTN(全窒素)ユニットTNM-Lを付加したTOC・TN測定システムを用いて、牛乳や飲料などの液体食品中の総窒素量を接触熱分解-化学発光法で測定します。
本方法は、試料の熱分解から化学発光までの工程をTOC・TN測定システム内で行っており、再現性の良い安定したデータが得られます。
ここではTOC・TN測定システムを用いた牛乳と高たんぱく質飲料の分析事例を紹介します。
分析・試験方法
分析装置 | 全有機体炭素計TOC-L + TNユニットTNM-L(島津製作所製) |
---|---|
測定項目 | 全窒素(TN) |
測定方法 | 接触熱分解 - 化学発光法 |
キャリアガス | 空気 |
検量線試料 | 硝酸カリウム標準水溶液 |
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図1 装置外観
(写真右:全有機体炭素計TOC-L + TN測定ユニット)
(写真左:オートサンプラASI-L) -
図2 全窒素の検量線
分析・試験例
牛乳は超純水で適宜希釈し、測定しました。
高たんぱく質飲料は、高たんぱく質飲料の粉末を超純水中に溶解させ、測定しました。
分析の結果得られた全窒素量から、たんぱく質換算係数を用いて算出したたんぱく質量は、食品成分表・食品栄養成分表示に示されているたんぱく質量とほぼ一致していました。試料中の窒素はたんぱく質由来であることから、試料に含まれる窒素を定量できたと考えられます。
全窒素量 (g/100g) |
たんぱく質換算値 (g/100g) |
食品成分表・ 食品栄養成分表示の たんぱく質量 (g/100g) |
||
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牛乳 | n-1 | 0.51 | 3.3 | 3.3 |
n-2 | 0.51 | 3.3 | ||
高たんぱく質飲料 | n-1 | 11 | 67 | 70 |
n-2 | 11 | 69 |
*たんぱく質換算値は「乳、乳製品、バター類、マーガリン類」のたんぱく質換算係数である「6.38」を、全窒素量に乗じたものを表示している。なお、たんぱく質換算値の計算に使用した全窒素量は表中の値ではなく、桁数を丸める前のものである。
以上のように、全有機体炭素計TOC + TN測定ユニットを用いて、液体試料中の全窒素量を測定できます。
本手法では試料に対して化学的処理を行いませんので、化学的処理による窒素の損失・汚染のリスクはありません。
液体試料中の全窒素量の把握にご活用ください。
2024.06.26 347