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硫黄の形態別定量分析

概要

■硫黄の形態別分析による土壌の酸化還元状態の確認

 農業や建築の分野で、土壌pHは作物の生育や建物の耐 久性に重要な意味を持ちます。このため、土壌のpHや酸化還元状態の化学特性は土質を評価する上で重要な項目となっています。
 この土壌の酸化還元状態を表す指標のひとつに、硫黄化合物の酸化型、還元型といった化学形態を確認する方法があります。

分析・試験事例

 土壌試料を異なる溶媒を用いて抽出し、硫黄化合物を化学形態別に定量した事例を示します。
 抽出操作の概要は、下記のとおりです。

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 試料に含まれる硫黄化合物は、溶媒に対する性質により、4つのグループに分かれます。
 それぞれのグループに抽出された硫黄化合物を吸光光度法またはICP発光分光分析法により定量し、合計を試料中の全硫黄化合物としました。
 河川底質標準試料(地質総合調査センターより入手)を約2年間の間隔をあけて測定をおこなった結果を下記に示します。
 その結果、試料中の硫黄化合物はパイライト硫黄の割合が高く、酸揮発硫黄だけが時間の経過により著しく減少していることがわかりました。

 
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表 硫黄の形態別分析結果

硫黄の形態 河川底質標準試料(Jsd-2)中のSの含有量(%)
2008年5月測定 2010年7月測定
パイライト硫黄 1.05 1.06
酸揮発硫黄 0.13 0.0560
硫酸型硫黄 0.067 0.055
単体硫黄 0.002 0.002
全硫黄 1.39 1.32

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