概要
走査型プローブ顕微鏡(SPM)による各種観察例
2013年11月19日更新
概要
SPMは試料表面を微小な探針で走査して、形状や物理特性、電気特性をナノスケールで調べることができます。
今回は大気中での形状観察だけではなく、特殊観察・測定の事例も紹介します。
分析・試験事例
観察例1:液中観察
大気中だけでなく、溶液中、生理的環境下等さまざまな条件の下での観察が可能です。
■サンプル
親水性ポリマー
親水性ポリマーを大気中と溶液中で観察しました。
大気中(左)では試料が乾燥し、表面形状がつぶれてしまっていますが、溶液中(右)では周辺の水分により試料が膨潤し、 大きな凹凸を形成している様子が観察されています。
観察例2:電位測定
導電性のカンチレバーに交流電圧を印加し、試料表面とカンチレバーとの間に働く 電気力を検出する事により、試料表面の電位を測定できます。
■サンプル
メッキ界面
鉄(Fe)に銅(Cu)をメッキした試料の断面を切り出し、その界面の電位測定を行いました。
左の凹凸像では界面は分らないですが、右の電位像により銅側がほぼ0Vであるのに対して鉄側が約90mV高く測定されました。
観察例3:位相、温度制御
ダイナミックモードで走査中にカンチレバーの位相の遅れを検出します。
試料表面の特性の違いを画像化することができます。また、温度制御も可能で試料を加熱しながら測定できます。
■サンプル
ポリマーフィルム
特殊なフィルムを30℃と50℃で加熱しながら観察し比較しました。
それぞれ左側が表面形状像で右側が位相像です。表面形状では見られませんが、位相像で変化が明瞭に観察されています。 これは加熱によってフィルムの物性的な変化が起こり、粘弾性の差が現れたことを意味しています。
観察例4:位相、電位測定
■サンプル
トナー粒子
トナー粒子1個の頂上部を高倍率で観察しました。
左図が表面形状像で、右図が位相像および表面電位(KFM)像です。 右図のように、異なる物性量を同一視野で比較することにより、トナー材料や外添材の分布と、 それらに起因する電位分布の相関が得られます。
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