概要
固体試料の透過スペクトルおよび反射スペクトル測定(紫外・可視・近赤外領域)
概要
紫外・可視・近赤外分光光度計 UV-3600および積分球を使用することで、固体試料の透過率や反射率を測定できます。ここではカーテン生地の透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定した例をご紹介します。紫外領域ではUVカット機能、可視領域では色調や目視した場合の透過性、近赤外領域では遮熱性や生地素材などに関する情報が得られます。
図1 波長領域(紫外・可視・近赤外)
特長・用途
- 紫外・可視・近赤外の3つの波長領域にわたってスペクトルを得ることができます。
- 積分球を使用し、散乱光を含めた全光線の透過率や反射率を求めることができます。
- 透過率+反射率+吸収率=100%となることを利用して、吸収率の算出ができます。
- 布地・樹脂・紙・金属など様々な試料を測定できます。大形試料室の使用により最大30cmφのサイズ、厚み50mmまで対応できます。
分析・試験装置
- 紫外・可視・近赤外分光光度計 UV-3600 (島津製作所製)
- マルチパーパス大形試料室 MPC-3100(60mmφ積分球内蔵)(島津製作所製)
分析・試験方法
3種類のカーテン生地(A、B、C)を測定しました。Aは黄緑色のアクリル製、BはUVカットの白色のレース生地でポリエステル製、Cは茶色の遮光カーテンでポリエステル製です。
図3 カーテン生地 (A、B、C)
図2 紫外・可視・近赤外分光光度計 UV-3600
+マルチパーパス大形試料室 MPC-3100
表1 測定内容
| 分析装置 | 島津紫外・可視・近赤外分光光度計 UV-3600 マルチパーパス大形試料室 MPC-3100 (積分球60mmφ内蔵) |
|---|---|
| 測定項目 | 透過率、反射率 |
| 測定波長範囲 | 250~2500nm |
- [透過スペクトルの測定]
光がカーテン生地を透過する場合、直進する光だけでなく拡散透過光が生じます。積分球の使用により、全光線透過光(直進透過光+拡散透過光)を測定することができます。 - [反射スペクトルの測定]
光がカーテン生地に反射される場合、正反射する光だけでなく拡散反射光が生じます。積分球の使用により、正反射光だけでなく拡散反射光も含めた全光線反射光を測定することができます。
-
図4 全光線透過測定
-
図5 全光線反射測定
分析・試験結果
[透過スペクトル]
Aは可視領域(350~800nm)に黄緑色の色調に起因する吸収ピークが見られます。Bはレース地のため透過率が高くなっていますが、紫外領域(~350nm)では紫外線を吸収または反射するため透過率が下がっています。Cは遮光カーテンのため、全領域にわたり透過率が極めて低くなっています。近赤外の領域(800~2500nm)では、Aはアクリル由来の吸収ピーク、Bはポリエステル由来の吸収ピークが見られます。
図6 透過スペクトル
[反射スペクトル]
A・Cは可視領域(350~800nm)に色調に起因する吸収ピークが見られ、Bは白地のため平坦です。近赤外領域(800~2500nm)では、Aはアクリル由来の吸収ピーク、B・Cはポリエステル由来の吸収ピークが見られます。
図7 反射スペクトル
[吸収率の算出例]
「透過率+反射率+吸収率=100%」であることを利用し、各カーテンにおける波長50nm毎の透過率、反射率からそれらの波長に於ける吸収率を算出し、プロットしました。
図8 カーテン生地の吸収率(計算値)
A・Bと比較してC(遮光カーテン)では全領域にわたって生地の吸収率が高いことが確認されます。また、可視領域(350~800nm付近)では、白色のBに比較して有色のAやC(黄緑色、茶色)で吸収率が高くなっています。近赤外領域(800~2500nm)ではアクリルやポリエステルといった素材特性に起因する吸収が見られます。
(備考)
反射率はスペクトラロン標準白板を100%として測定した相対反射率であるため、測定値に標準白板の反射率(但し波長50nm毎)により補正した後、吸収率の計算に使用しました。
以上のように紫外・可視・近赤外分光光度計 UV-3600+マルチパーパス大形試料室 MPC-3100を使用して、カーテン生地の透過率および反射率を測定しました。また、得られた透過率と反射率を利用して吸収率を算出しました。今回はカーテン生地を例として測定しましたが、さまざまな試料に対応できますので、幅広い分野でご活用をご検討ください。
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2023.11.28 248