background image background image

廃車由来樹脂のリサイクル開発研究(X線CTによる非破壊観察、介在物解析)

概要

 経済産業省 産業構造審議会 産業技術環境分科会 廃棄物・リサイクル小委員会 (当時。現在は資源循環経済小委員会に改組) 自動車リサイクルワーキンググループ第51 回合同会議(2020年11月20日)にて、日本プラスチック工業連盟から「自動車由来プラスチック材のリサイクルについて」で廃車由来バンパーの『 Car to Car リサイクル 』 を目指すことが示されました。
 樹脂リサイクルの現状では、材料の物性のばらつきを抑えることや、塗膜を剥離するコストが大きな課題となっています。そのため、修理交換用のバンパーは一部の自動車部品に限られ、廃車から出たバンパーは自動車部品以外の用途に再利用されています。
 そうした動きの中で、塗膜付き樹脂リサイクル材の自動車部品への利用拡大によるCar to Car リサイクルに向け、スズキ株式会社は、2022年度から自動車リサイクル料金の収支余剰金を活用した個社自主事業活動として「塗膜付き樹脂リサイクル材の製造工程および部品適用の課題解決(経済産業省Webサイト)」を、共同事業者であるいその株式会社と実施してきました。本事業において、いその株式会社からの委託を受けた株式会社島津テクノリサーチでは、シート化技術の研究において、リサイクル材の分析を行いました。

分析・試験装置

inspeXio SMX-225CT FPD HR Plus (島津製作所製)

試料

塗膜付きポリプロピレンリサイクル材(ダンベル試験片)

試験片

塗膜付きポリプロピレンリサイクル材(ダンベル試験片) 4点

目的

塗膜等の異物を含んだリサイクル材中の異物のサイズ・含有率を把握する。

分析・試験方法

X線CT により、ダンベル試験片平行部の非破壊観察を行いました。
樹脂中に含まれる異物の介在物解析(VG STUDIO社製)を行い、塗膜の含有量、異物のサイズ、位置などを確認しました。

分析・試験結果

X線CTで撮影を行い、介在物解析を行いました。
介在物体積(異物体積)の大きさ毎に色表示しています(ピンク色大~青色小)。

・試料1
試料1介在物解析結果(VR像)

介在物解析結果(VR像)

マテリアル体積 (mm3) 225.1
介在物体積 (mm3) 4.3
介在物体積率 (vol%) 1.9
・試料2
試料2介在物解析結果(VR像)

介在物解析結果(VR像)

マテリアル体積 (mm3) 225.8
介在物体積 (mm3) 4.0
介在物体積率 (vol%) 1.8
・試料3
試料3介在物解析結果(VR像)

介在物解析結果(VR像)

マテリアル体積 (mm3) 227.2
介在物体積 (mm3) 4.2
介在物体積率 (vol%) 1.8
・試料4
試料4介在物解析結果(VR像)

介在物解析結果(VR像)

マテリアル体積 (mm3) 215.0
介在物体積 (mm3) 2.6
介在物体積率 (vol%) 1.2

まとめ

解析結果の画像から、試料1には最も多くの大きな体積の異物が存在し、次いで試料2、3、4の順であることが確認されました。
また、表のデータから試料1~3は介在物体積率が同等であることがわかりました。
X線CTによる撮影により、広範囲で異物を視覚的に確認でき、介在物解析を行うことで異物の形状、サイズ、含有率を把握することが可能です。

関連情報