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多孔質粉末の水銀圧入法による細孔分布測定

概要

細孔構造を有する多孔質粉末は、触媒・コーティング剤・吸着剤などに広く使用されています。細孔径、細孔分布、細孔体積は製品の性能に大きく影響するため、それらの構造を把握することは重要です。
本アプリケーションでは、多孔質シリカを水銀ポロシメータで評価した事例をご紹介します。

試料

多孔質シリカ 粉末

分析・試験方法

AutoporeⅤ9620 (Micromeritics 社)

自動水銀ポロシメータ 細孔分布測定装置
AutoporeⅤ9620 (Micromeritics 社)

水銀圧入法による細孔分布測定

水銀圧入法とは、表面張力の大きな水銀を細孔や隙間に圧入し、そのときの圧力と
圧入量から細孔体積や細孔分布を求める方法です。

大きい細孔から水銀が侵入
水銀圧入量と圧力のグラフ

分析・試験事例

測定した結果を図1に、結果から算出した結果を表1、表2に示します。

図1 細孔分布
図1 細孔分布

粒子間の空隙を含む測定全範囲の解析結果

 表1 細孔分布:測定全範囲

細孔体積
(ml/g)
細孔表面積
(m2/g)
メディアン径  (体)
(μm)
モード径(体)
(μm)
気孔率
(%)
2.505 183 5.39 0.024 83

注1:モード径はデータ処理装置画面上からの読み取り
注2:気孔率は、直径約330μm以上の空隙を除いた試料体積に対する値です。
  (試料に水銀を圧入した時点(測定準備段階)で直径約330μmの空隙は充填されてしまうため)

 

黄色枠内の細孔のみの解析結果

 表2 細孔分布:特定の範囲(計算範囲:0.003~1μm)

細孔体積
(ml/g)
細孔表面積
(m2/g)
メディアン径  (体)
(μm)
モード径(体)
(μm)
気孔率
(%)
1.233 183 0.025 0.024 70

注1:モード径はデータ処理装置画面上からの読み取り
注2:気孔率は、計算範囲の上限に対応する空隙にまで水銀が圧入されたときの試料体積に対する値です。

 

図1から、試料には細孔径範囲の異なる2つの分布があることが分かります。
細孔径の大きい方の分布が粒子間の空隙であり、細孔径の小さい方の分布は粒子内細孔の分布であると考えられます。
水銀圧入法では広い細孔径範囲を測定でき、空隙の分布と細孔の分布を同時に得られるため、そのような考察が容易になります。

 

特定の細孔径範囲を指定し、解析したい範囲だけを評価することも可能です。

2025.02.7 419

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