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ポリエチレンテレフタレート(PET)の熱履歴による熱的挙動の変化

2012年05月21日更新

概要

 高分子材料の持つ熱的性質や機械的特性は、その試料が受けた熱履歴によって変化することが知られています。
 ここでは、DSC(示差走査熱量計)を用いて熱履歴の異なるPETの熱的挙動を確認した測定例を紹介します。

分析・試験事例

図 DSCチャート(試料:飲料容器 10℃/min)

図 DSCチャート(試料:飲料容器 10℃/min)

■一回目の昇温

 室温からPET(飲料容器)を昇温した結果、70℃付近にガラス転移、130℃付近に結晶化による発熱ピーク、 250℃付近に融解による吸熱ピークが観測されました。
これはオリジナル試料が成型後に急冷されたことでほとんど結晶化せず、非晶質状態であったことがわかります。

■徐冷後、二回目の昇温

 一回目の昇温後、ゆっくり冷却(徐冷)、再昇温した結果、250℃付近の融解による吸熱ピークのみが観測されました。 これは1回目の昇温で融解したPETを徐冷したことで、結晶化がすすんだことがわかります。

 プラスチックには透明なものと不透明なものがあります。 一般的にはその元となるポリマーが非結晶性の場合透明プラスチックになります。 PET自体は結晶性ですが、実用時は非晶質状態に保ったものが透明プラスチック材料として用いられていることがこの測定でも解ります。

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