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土壌中の鉛同位体比分析

2012年07月17日更新

概要

 物質には原子番号が同じでも、質量数が異なる同位体が存在します。
 鉛には204Pbの他に238Uから壊変して生成された206Pb、235Uから壊変して生成された207Pb、232Thから壊変して生成された208Pbが存在します。

 

4種類の鉛同位体が存在:204Pb,206Pb,207Pb,208Pb

 

  鉛の同位体比については、鉛鉱石の産地によって変化することが知られています。
 鉛同位体分析はこの4種類の同位体比を指標として、鉛の産地特定につなげる評価方法です。また、日本古来の地層での鉛同位体比と比較することにより、工業活動等で人為的に発生した鉛汚染とを識別するに必要な情報が得られます。
 207Pb/206Pb比と208Pb/206Pb比は、ICP質量分析装置で測定することができます。
 ここでは土壌試料の測定事例を示します。

分析・試験事例

■土壌の鉛含有量

 土壌試料を環告19号で定める1N塩酸溶液で鉛を溶出させ、ICP質量分析法にて定量を行いました。

表1 土壌中の鉛 測定結果(平均値)

土壌 試料A 試料B
Pb含有量(mg/kg) 3500 14

注) データ総数 : 土壌A(n数=8)、土壌B(n数=24)

■土壌の同位体組成

 試料Bの207Pb/206Pb比と208Pb/206Pb比は、試料Aの207Pb/206Pb比や208Pb/206Pb比と 比較して明確に違いがあることがわかります。

図1 土壌の鉛同位体組成

 

図1 土壌の鉛同位体組成

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