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高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)による蒸留酒の香気成分の分析

2013年07月05日更新

概要

 長期貯蔵したウイスキーや泡盛などの蒸留酒は、特有の甘い芳香(バニラ香)をもちますが、これは蒸留や貯蔵過程で樽材や酒原料から生成されるバニリンに由来することが知られています。
  また、樽貯蔵を行った酒類では、バニリンと同じく樽材由来の芳香成分であるシリングアルデヒドも多く含まれることが分かっています。
 ここでは、代表的な蒸留酒の香気成分(バニリン・バニリン酸・シリングアルデヒド)のLCMS分析例を示しました。

分析・試験事例

【香気成分3成分のマススペクトル】

【香気成分3成分のマススペクトル】

【標準溶液と実サンプル(バーボン・泡盛)のSIMクロマトグラム】

【蒸留酒の香気成分の定量結果】

【蒸留酒の香気成分の定量結果】

【蒸留酒の香気成分の定量結果】

 樽で長期貯蔵したウイスキー類では、3成分とも1mg/L以上の高い濃度で検出され、そのうちバーボンが最も高い値となりました(バーボンは内側を焦がした樽で貯蔵するのが特徴)。
  また、樽貯蔵の酒類に比べると濃度は低いものの、甕やタンクを用いて貯蔵された泡盛(特に古酒)や一部の焼酎でも、約0.3mg/Lのバニリンが検出されました(泡盛や焼酎に含まれるバニリンは、酒原料に由来すると考えられています)。

LCMS