概要
薬品中の異物分析
2012年12月18日更新
概要
異物として認識されるものには、主に虫や毛髪、繊維、樹脂片、金属片、ガラス片などがあります。今回は、医薬品(分包薬品)中にみられた繊維状異物についての分析事例を紹介します。
分析・試験事例
■外観観察
分包薬品中に確認された茶色の異物を採取し、デジタルマイクロスコープによる観察を行ったところ、繊維の塊のように観察されました。また、赤色、青色などの粒状の物質も確認され、顔料成分などの存在が示唆されることから、再生紙に起因する可能性があります。
■蛍光X線分析~元素マッピング測定
異物を一部分取し、薄片化後、エネルギー分散型微小部蛍光X線分析装置(μEDX)による元素マッピング測定を行いました。
外観では、無色の部分と顔料を含む有色の部分が確認され、また、元素マッピングでは、カルシウム(Ca)は、赤色、青色の有色の部分に、珪素(Si)は全体的に分布しているようにみられました。
■赤外吸収スペクトル測定
異物の無色部分のうち、珪素(Si)が検出されていない部分は、セルロース類が主成分であることが解りました。(図1)
また、カルシウム(Ca)が検出された青色の部分からは、セルロース類以外に、炭酸塩、珪酸塩鉱物に由来する吸収が確認されました。(図2)
■まとめ
マッピングにより、元素のカルシウム(Ca)、珪素(Si)が検出された部位には、顔料成分でもある炭酸カルシウム、カオリナイトなどの存在が推察されました。また、赤外吸収スペクトルからセルロース類が主成分であるため、分包薬品中の茶色異物は、再生紙由来の紙片であると考えられます。
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