恒温・恒湿環境下における長ストローク引張負荷時の応力緩和評価

従来、材料の特性評価は定形や製品から切り出した試験片を用いての評価が一般的でした。
しかし近年では、実際に製品に組み込まれる状態に近い条件で評価したいというニーズが高まっており、より大きな試験片や製品そのものを対象とした試験のご要望が増えています。そのため、より広い試験空間を備えた試験装置が求められています。
当社の長ストロークオートグラフ(万能試験機)は、標準機と比較して引張ストロークを約1.9倍に拡大しており、大型試験片や実製品の評価に対応しています。
また、恒温恒湿槽の試験室高さも標準仕様の2倍とすることで、より大きな試験体の恒温・恒湿環境下での評価を可能にしています。
その大きな恒温恒湿槽の利点を生かし、大きく伸びるゴム材料の応力緩和試験を実施した事例を通じて装置の特徴をわかりやすくご紹介します。

●応力緩和試験とは

応力緩和試験は、材料に一定のひずみ(ストローク)を与え続け、時間の経過とともに応力が低下する現象を測定する試験です。

 

 

試験方法

試験機+恒温恒湿槽

試験機+恒温恒湿槽
試験機 島津製作所製 精密万能試験機 AGX-100kNV2
恒温恒湿槽 島津製作所製 恒温恒湿槽 THC2W-300T+600
温度範囲:-40~+250℃
湿度範囲:20~40℃:30~95%RH
     40~95℃:20~95%RH
温度湿度制御範囲
温度湿度制御範囲
つかみ具 空気式つかみ具
試験条件 試験速度50 mm/min (ストローク300 mmまで)
⇒ストロークホールド(30 min)
試験温度 -10 ℃、23℃(室温)、60 ℃
試料 ブチルゴム、ニトリルゴム

 

精密万能試験機を用いて、ブチルゴムとニトリルゴムの応力緩和試験(経過時間ごとの応力変化を測定)を行いました。
今回の試験は長さ300 mmの短冊形状のゴムシートで実施しました。
今回使用した長ストロークオートグラフ(万能試験機)は、引張ストロークを標準機の約1.9倍(760 mm→1,435 mm)に拡大し、恒温恒湿槽の試験室高さも標準仕様の2倍(600 mm→1,200 mm)に延長し、大きく伸びるゴム製品の評価に適しています。

 

 

試験結果

材質の違いによる応力緩和の進行度

23℃(室温)下でのブチルゴムとニトリルゴムの応力緩和量を比較しました。試験結果を図1に示します。
ニトリルゴムの方が300 mm負荷時の応力は小さく、時間経過による応力の緩和量も小さいことがわかります。

図1 応力・ストローク-時間線図(応力緩和試験,試料比較)

図1 応力・ストローク-時間線図(応力緩和試験,試料比較)

ブチルゴムの温度依存性

試験温度(-10℃、23℃(室温)、60℃)の違いによるブチルゴムの応力緩和量を比較しました。試験結果を図2に示します。
試験温度が低いほど応力が高く、応力緩和が顕著に発生しました。

図2 応力・ストローク-時間線図(応力緩和試験,ブチルゴム試験温度比較)

図2 応力・ストローク-時間線図(応力緩和試験,ブチルゴム試験温度比較)

ニトリルゴムの温度依存性

試験温度(-10℃、23℃(室温)、60℃)の違いによるニトリルゴムの応力緩和量を比較しました。試験結果を図3に示します。
ニトリルゴムはブチルゴムと比較すると耐熱性が低く、60 ℃条件では,300 mm負荷する前に破断しました。
23℃(室温)と-10 ℃条件を比較すると、応力緩和後の応力は同程度になりました。

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図 3 応力・ストローク-時間線図(応力緩和試験,ニトリルゴム試験温度比較)

試験外観

恒温槽の窓越しにニトリルゴムが大きく伸びる様子が観察できます。

外観
 
試験前 ストローク50 mm ストローク150 mm ストローク250 mm
試験前
ストローク50 mm
ストローク150 mm
ストローク250 mm

 

●広い試験空間を有しているため、今回のような伸びが大きな試験片やサイズが大きな試験片の試験が可能です。
●恒温槽では湿度制御も可能なため、実際の使用環境に近い恒温・恒湿条件下での評価が可能です。
●全ての装置で立ち合い試験が可能です。Webを通じて、遠隔地からも試験状況をリアルタイムにご確認いただけます。

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