低温から高温まで、箔やフィルムの圧縮特性を高精度に評価可能

製品の小型化・省スペース化が進んでいる昨今、シートやフィルムなど薄い試験片に対する評価依頼が増加しています。
このようなご依頼に対応していくために、当社では、薄い試験片のわずかな変位を高精度に検出できる材料試験システムを開発しました。
試験機のクロスヘッドストローク値(クロスヘッド移動量、以下ストローク値)には、負荷によって生じる試験機、ロードセル、治具などの変形が含まれ、ストローク値に影響を及ぼすことがあります。そのような場合、ストローク値で試験片の変形量を正確に把握することが困難なことがあります。
変位計を使用すれば、試験片自体の変位を直接測定できます。特に、変位量の小さい薄い試験片では、装置や治具の変形が測定誤差に大きく影響するため、変位計の使用の効果はより大きくなります。

今回は、ゴムシートの応力緩和試験および圧縮負荷除荷試験の実施例を通じて、高精度変位検出が可能な試験の特徴をご紹介します。

 

試験方法

高精度変位計

試験治具外観

試験機 島津製作所製 精密万能試験機 AGX-100kNV2
恒温槽 島津製作所製 恒温槽 THC2W-300T+600
治具 φ50 mm圧盤
試験片 シリコンゴム □20 mm×t2 mm

・応力緩和試験条件
負荷除荷条件 応力12.5 MPa (5,000 N)
⇒ ひずみホールド(15 min) 
⇒ 応力0.125 MPa (50 N)
試験速度 0.1 mm/min
試験温度 23℃(RT)

・圧縮負荷除荷試験条件
圧縮負荷除荷条件 応力12.5 MPa (5,000 N)
⇒応力0.125 MPa (50 N) ×3回
試験速度 0.1 mm/min
試験温度 23℃(RT)

 

 

試験事例

精密万能試験機を用いて、シリコンゴムの応力緩和試験および圧縮負荷除荷試験を実施しました。

●応力緩和試験

図 1 試験力・ストローク・変位計-時間線図(応力緩和試験)

図 1 試験力・ストローク・変位計-時間線図(応力緩和試験)

図2 ホールド時の変位計の値を拡大

図2 ホールド時の変位計の値を拡大

応力が緩和されたことによるロードセルや治具等のひずみの緩和量

応力緩和試験では、変位計の値がストローク値よりも低くなっており、試験機やロードセル、治具のひずみを含まない試験片の変位をとらえていることがわかります。
また、変位計の値でホールドすることで、応力の緩和に伴う治具等のひずみの緩和の影響を受けることなく、試験をすることができています。(図1参照)

 

●圧縮負荷除荷試験

図 2 応力-ひずみ線図(負荷除荷試験)

図 3 応力-ひずみ線図(圧縮負荷除荷試験)

圧縮負荷除荷試験では、1サイクル目に発生する大きな残留ひずみに加え、2サイクル目以降の負荷サイクル進行に伴う残留ひずみの小さな変化を正確にとらえることができました。(図3参照)

図3 恒温槽(左)、試験治具(真ん中)、変位計(右)

図3 恒温槽(左)、試験治具(真ん中)、変位計(右)

今回は厚さ2 mmの試験片を評価しましたが、本システムでは、樹脂フィルムや金属箔などのより薄い試験片の測定にも対応しています。
また、試験中の試験片や治具の傾きを検出でき、-50~200 ℃の広い温度範囲で使用可能です。
最近では、電池用ラミネートセルやセパレータなどをはじめ、幅広い製品・材料の評価にご活用いただいています。

 

 

関連情報