概要
熱分解-GCMSによる高分子材料の構造推定
2011年06月08日更新
概要
熱分解-GCMSは、微量の高分子材料を小型加熱炉内で熱分解後、得られた熱分解生成物をオンラインでGCMS分析する手法です。 熱分解生成物の組成は、元となる高分子構造を反映するため、樹脂種の同定や、高分子構造推定の効果的な解析手段となります。
また、GCの分離能力、MSの定性能力をいかした微量有機不純物や配合添加剤の特定、UV照射装置を併用した耐候性評価試験などの 高分子材料分析が可能です。
市販の高分子材料を対象とした、熱分解-GCMS分析による構造推定例を紹介します。
分析・試験事例
■高分子構造の推定例1
市販のポリウレタン樹脂をシングルショット法で熱分解後、その熱分解生成物から高分子構造を推定しました(図1)。
熱分解生成物として、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジプロピレングリコール(DPG)、トリプロピレングリコール(TPG)が検出された結果、 このポリウレタン樹脂は、ポリオールとしてポリプロピレングリコール(PPG)、2官能イソシアネートとしてTDIを使用したポリエーテル型 ポリウレタンと推定されました。
■高分子構造の推定例2
熱可塑性樹脂をシングルショット法で熱分解後、その構造推定を行いました(図2)。
スチレン(S)、アクリロニトリル(A)単位のモノマー、混成ダイマー、混成トライマーが検出されたほか、 ブタジエン単位に由来する1,4-ブタジエン(B)、ブタジエンダイマーのビニルシクロヘキセン(V)が検出されました。
この結果、この熱可塑性樹脂は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)と推定されました。
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