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FTIR及びGC-MS法によるフタル酸エステルの分析

2010年12月10日更新

概要

 フタル酸エステル類の分析では、規制対象のフタル酸エステル類と似た構造をもつ代替可塑剤との判別が重要です。FTIRによる簡易測定では判別できないサンプルはGCMSによる精密分析で規制対象のフタル酸エステル類の有無を100mg/kg程度まで判断可能です。

  当社では塩化ビニル樹脂中のフタル酸エステル類定量業務に関するISO/IEC17025試験所認定を取得しており、信頼性の高い結果をご提供いたします。

当社では「RoHS分析」及び「フタル酸エステル類分析」について
ISO/IEC17025試験所認定を取得しています。

法規制・規格

 フタル酸エステルは、主にポリ塩化ビニル(PVC)の可塑剤として使用されています。しかし、近年、フタル酸エステル類の人体への内分泌攪乱作用が懸念されるようになり、日本・EU・米国では玩具に対してフタル酸エステル類の使用を規制しています。

名称 略称 規制内容
EU 欧州指令 2005/84/EC 米国 CPSIA Section 108 日本 食品、添加物等の規格基準
(厚生省告示第370号)
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
フタル酸ジブチル
フタル酸ブチルベンジル
DEHP
DBP
BBP
流通する全ての玩具・育児用品に対して、
上限基準値(合計0.1%)を超えないこと
乳幼児が接触することによりその健康を損なうおそれのあるおもちゃに対して含量0.1%以下
フタル酸ジイソノニル
フタル酸ジイソデシル
フタル酸ジ-n-オクチル
DINP
DIDP
DNOP
口に含む可能性のある玩具・育児用品に対して、
上限基準値(合計0.1%)を超えないこと
乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃに対して、含量0.1%以下

分析・試験事例

 フタル酸エステル類の試験法として、溶媒抽出後にガスクロマトグラフ質量分析装置(GCMS)で測定するのが一般的ですが、一連の作業に数時間を要します。フーリエ変換赤外分光分析装置(FTIR)を用いると前処理不要で、簡易測定を行うことができます。
 FTIRによる簡易測定で得られた赤外スペクトルから、フタル酸エステル類を含む可能性のあるサンプルについて、GCMSで精密分析を行った例を紹介します。

事例1 -消しゴムの分析-

 消しゴムのFTIRによる赤外吸収スペクトル(図1)を解析したところ、エステル基及び、ベンゼン環の吸収が検出され、フタル酸エステル類の含有の可能性が示唆されました。

図1 消しゴムの赤外吸収スペクトル

図1 消しゴムの赤外吸収スペクトル

 溶媒・溶解・抽出を行った後、GC-MS法により解析を行いました。
 その結果、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)が検出され、クロマトグラムから20%程度含有していることが判明しました。

図2 MSクロマトグラム

図2 MSクロマトグラム

構造式

事例2 -玩具の分析-

 玩具のFTIRによる赤外吸収スペクトル(図3)を解析したところ、エステル基及びベンゼン環の吸収が検出され、フタル酸エステル類の含有の可能性が示唆されました。

図3 玩具の赤外吸収スペクトル

図3 玩具の赤外吸収スペクトル


 溶媒・溶解・抽出を行った後、GC-MS法により解析を行いました。
 その結果、代替可塑剤のO-アセチルクエン酸トリブチルが検出されました。

図4 MSクロマトグラム

図4 MSクロマトグラム

構造式

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