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樹脂ビーズの圧縮および負荷-除荷試験

2021年01月15日更新

概要

 樹脂ビーズ等、圧縮試験を行っても破壊点が明確ではない場合、粒子径の10 %変形時の試験力から算出した10 %強度で評価を行います。また、負荷-除荷試験で圧縮率や復元率を評価する方法もあります。
 今回は、15~19 μmの樹脂ビーズを粒子径毎に圧縮試験し、さらにその時の10 %変形時の試験力を最大試験力とした負荷-除荷試験を行った例を紹介します。

試料

 樹脂ビーズ(15~19 μm)

分析・試験装置

■装置

 島津製作所製 微小圧縮試験機 MCT-510

■試験条件

1. 圧縮試験(試料に設定試験力まで負荷を与える試験)

試験力(mN) 49.00
負荷速度(mN/sec) 0.8924
上部加圧圧子(μm) 50(ダイヤモンド製平面圧子)

 

2. 負荷-除荷試験(試料に最大試験力まで負荷を与え、その後、最小試験力まで除荷を行う試験)

最大試験力(mN) 圧縮試験において、10 %変形時の試験力
最小試験力(mN) 0.05
負荷速度(mN/sec) 0.8924
上部加圧圧子(μm) 50(ダイヤモンド製平面圧子)

分析・試験方法

■試験方法

方法

 試料台に樹脂ビーズを極微量散布後、X方向とY方向の径を測ってその平均を粒子径とし、1 粒ずつ試験を行いました。

■評価方法

1. 圧縮試験(破壊点が明確ではない場合)

2. 負荷-除荷試験

1
2
 10 %強度 C(x) = 2.48P/(πd2
C(x) 10 %強度[MPa]
P 粒子径の10 %変形時の試験力[N]
d 粒子径[mm]
圧縮率 Cr= (L1/d)×100
復元率 Rr= (L2/d)×100
Cr 圧縮率(%)
Rr 復元率(%)
d 粒子径[mm]
L1 変位1[μm]
L2 変位2[μm]

1. 圧縮試験(破壊点が明確ではない場合)

1
 10 %強度 C(x) = 2.48P/(πd2
C(x) 10 %強度[MPa]
P 粒子径の10 %変形時の試験力[N]
d 粒子径[mm]

2. 負荷-除荷試験

2
圧縮率 Cr= (L1/d)×100
復元率 Rr= (L2/d)×100
Cr 圧縮率(%)
Rr 復元率(%)
d 粒子径[mm]
L1 変位1[μm]
L2 変位2[μm]

分析・試験結果

 各試験の試験力-変位グラフを図1および図2に、試験結果を表1および表2に示します。

1. 圧縮試験

図1 圧縮試験の試験力-変位図

図1 圧縮試験の試験力-変位図

表1 圧縮試験の結果

平均径 [μm] 試験力 [mN] 10 %強度C(x) [MPa]
15 11.8 37.7
16 12.8 35.5
17 14.3 36.9
18 15.1 36.8
19 17.2 36.0

 15~19 μmの樹脂ビーズを粒子径毎に圧縮試験しました。表1より、粒子径によらず10 %強度C(x)は同程度であることが分かります。これは、弾性域内で評価できていることを示しています。

2. 負荷-除荷試験

図2 負荷-除荷試験の試験力-変位図

図2 負荷-除荷試験の試験力-変位図

表2 負荷-除荷試験の結果

平均径 [μm] 最大試験力 [mN] 圧縮率 [%] 復元率 [%]
15 11.1 10.0 7.3
16 13.1 10.4 7.3
17 14.1 10.4 7.0
youtube 18 16.1 10.5 7.1
19 17.1 10.6 7.1
 上記、圧縮試験の10 %変形時の試験力を元に最大試験力に設定し、負荷-除荷試験を行いました。表2より、粒子径によらず圧縮率および復元率は同程度でることが分かります。これより、試料は均一性が高い粒子であると推察されます。

■まとめ

 樹脂ビーズを圧縮試験し、その時の10 %変形時の試験力を最大試験力として負荷-除荷試験を行い、圧縮率と復元率を算出しました。弾性域内で均一性の高い粒子を試験したことにより、10 %強度C(x)や圧縮率および復元率は同程度の値を示し、図1および図2の「試験力-変位図」は粒子径に比例する様な綺麗な重ね描きパターンを示しました。今回は、破壊点が明確ではない試料の例ですが、破壊点が明確な試料も、破壊点より低い試験力を最大試験力として負荷-除荷試験することにより、圧縮率と復元率を算出することも可能です。

関連情報

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2021.01 307