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水蒸気吸着測定による活性炭の親水性評価

2016年01月18日更新

概要

 水蒸気吸着測定と窒素ガス吸着測定を組み合わせることにより、固体表面の親水性の評価が可能です。
 今回は空気浄化剤、浄水剤などに用いられる活性炭の親水性の比較評価を行いました。

試料

 活性炭A、B

分析・試験方法

ガス吸着測定装置(3Flex)

ガス吸着測定装置(3Flex)

■測定装置

 ガス吸着測定装置(3Flex)

■測定法

 定容法ガス吸着法

吸着質 測定温度
水蒸気 25℃
窒素 -196℃(液窒素温度下)

分析・試験結果

 図1の窒素ガス吸着等温線は、活性炭A、Bともに相対圧の低い領域から吸着量が大きく増加し、相対圧0.1までにガス吸着はほぼ完了しています。
 試料間の結果を比較すると、BはAより比表面積、細孔容積が大きい結果となりました(表1)。

図1 窒素ガス吸脱着等温線

図1 窒素ガス吸脱着等温線

表1 窒素ガス吸着測定結果

  BET比表面積 (m2/g) 細孔容積 (cm3/g)
活性炭A 893 0.37
活性炭B 1174 0.49

 一方、水蒸気吸着等温線では、相対圧0.55付近までAの吸着量が大きく、相対圧0.55以上ではBが逆転しました。
 これは、窒素ガスは固体表面全体に吸着するのに対し、水蒸気は相対圧の低い領域で親水性表面に選択的に吸着し、その後、相対圧の高い領域で細孔内に吸着されていくため、細孔容積の大きなBの水蒸気吸着量が逆転したと考えられます。

図2 水蒸気吸脱着等温線

図2 水蒸気吸脱着等温線

 試料表面の親水性を評価するため、相対圧0.1以下の領域で窒素ガス吸着法と水蒸気吸着法でのBET比表面積値を算出し、その比(水蒸気/窒素ガス)を求めました(表2)。
 その結果、水蒸気/窒素ガス比表面積比が、Aは0.074に対して、Bは0.022であり、Aのほうが親水性であることが示唆されました。

表2 比表面積結果比較

  窒素ガス(BET法)
比表面積(m2/g)
水蒸気(BET法)
比表面積(m2/g)
水蒸気/窒素ガス
比表面積比
活性炭A 893 66.4 0.074
活性炭B 1174 25.3 0.022

関連情報

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2016.1.18