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リチウムイオン二次電池セパレータの各種評価

2012年09月24日更新

概要

 携帯電話用リチウムイオン二次電池(LiB)からセパレータを取り出し、機器分析により様々な評価を行いました。

試料

 セパレータ3種(A,B,C)

分析・試験方法

材質分析 フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)による
融解測定 示差走査熱量計(DSC)による
負荷・除荷試験 微小圧縮試験機による
細孔分布測定 水銀圧入法による
図1 Liイオン二次電池(LiB)の概略構造

図1 Liイオン二次電池(LiB)の概略構造

分析・試験結果

■材質分析

 FT-IRにより材質分析を行いました。その結果、いずれの試料も主成分はポリエチレンで、試料Cにはポリプロピレンに特有のピークが確認されました。

図2 赤外吸収スペクトル

図2 赤外吸収スペクトル

■融解測定

 DSCにより熱特性を調べました。その結果、いずれの試料も、100~150℃にかけて融解による吸熱ピークが検出され、融解温度よりポリエチレンと推定されました。
 試料Cは、160℃付近に微小な吸熱ピークが観察され、ポリプロピレンも存在すると推測されます。
 また、結晶化度は融解熱量に比例するため、結晶化度は、B,C>Aと考えられます。

図3 DSC曲線

図3 DSC曲線

■負荷・除荷試験

 LiB内では、電極材粒子がセパレータ表面に押し付けられることにより、局所的に力が加わることが考えられます。
 ここでは、一定の試験力による負荷・除荷試験により、セパレータ表面の微小部の機械的特性を測定しました。
 試料をガラス板に貼り付けて固定し、最大試験力を49mNに設定し、負荷・除荷試験を行いました。
 その結果、図4に示すように、いずれの試料も異なるパターンを示し、圧縮率は、B>A>C、復元率は、A>B>Cの順となりました。

図4 試験力-変位グラフ

図4 試験力-変位グラフ

表1 試験結果

  厚さ [μm] 圧縮量 [μm] 復元量 [μm] 圧縮率 [%] 復元率 [%]
A 25 4.0 1.6 15.9 6.3
B 25 6.2 1.3 24.7 5.1
C 25 3.1 1.0 12.5 3.9
圧縮率(%)=(圧縮量)÷(厚さ)×100
復元率(%)=(復元量)÷(厚さ)×100

表1 試験結果

  A B C
厚さ [μm] 25 25 25
圧縮量 [μm] 4.0 6.2 3.1
復元量 [μm] 1.6 1.3 1.0
圧縮率 [%] 15.9 24.7 12.5
復元率 [%] 6.3 5.1 3.9
圧縮率(%)=(圧縮量)÷(厚さ)×100
復元率(%)=(復元量)÷(厚さ)×100

 

■細孔分布測定

 細孔径は、電極材粒子がセパレータを通り抜けて移動しないようなサイズである必要があります。
 水銀圧入法により、細孔分布測定を行いました。
 その結果、いずれの試料も異なる分布を示し、細孔径は、B>A>Cの順となりました。

図5 細孔分布

図5 細孔分布

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