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第5回環境化学物質合同大会 参加報告

学会発表・論文 学会参加報告 環境化学討論会

第5回環境化学物質合同大会 参加報告
(第34回環境化学討論会/第30回日本環境毒性学会研究発表会)

「環境化学物質研究から紐解くプラネタリーヘルス」

会 期:2026年6月23日(火)~6月26日(金)
会 場:出島メッセ長崎
主 催:(一社)日本環境化学会、日本環境毒性学会
大会長:長江真樹(長崎大学)
実行委員長:第34回環境化学討論会 鳥羽陽(長崎大学)、高尾雄二(長崎大学)
      第30回日本環境毒性学会研究発表会 石橋弘志(愛媛大学)、加茂将史(産業技術総合研究所)

● 当社の研究成果発表内容   https://www.shimadzu-techno.co.jp/news/gakkai/news260707.html
● 環境化学物質合同大会の情報 https://j-ec.smartcore.jp/M022/forum/touron34?jpn


第5回環境化学物質合同大会において、当社は連名も含め、8題の研究成果を発表しました。
大会の概要や主な研究報告、講演の内容などをレポートします。

<大会の概要>

会場(出島メッセ長崎)

会場(出島メッセ長崎)

第5回環境化学物質合同大会は、昨年度に引き続き環境化学物質に関わる2学会(第34回環境化学討論会、第30回日本環境毒性学会研究発表会)合同で開催されました。

総発表演題数は470題(特別企画・特別講演を除く)、口頭発表179題、ポスター発表291題と要旨集に記載されていますが、最終的な特別企画を含む発表演題数は501演題と初めて500の大台となりました。また参加者数についても当日参加登録者を含めると938名超、展示スタッフを含めると約1050名と、発表演題数と参加者は過去の記録を更新しました。長崎市は台風の影響などで梅雨前線停滞で連日の雨にもかかわらず、会場の出島メッセ長崎では大変盛況な大会となりました。

一般の口頭発表やポスター発表でも8つの重点テーマセッションに加え、特別講演と8つの特別企画も別途設定され、会場のいたるところで活発な議論が展開されていました。
 

◇重点テーマセッション

  1. PFASの高精度分析技術における新たな展開
  2. 高分解能質量分析計によるワイドターゲット・ノンターゲット分析の潮流
  3. マイクロプラスチックの分析技術と環境動態
  4. PFASの生体内動態・バイオモニタリングと毒性影響
  5. 環境中PFASの分布・負荷・発生源
  6. TRWP・エラストマー粒子の環境動態・流出実態
  7. タイヤ添加剤・溶出液の曝露実態と生態毒性
  8. 農薬の環境動態・生態リスク評価と毒性影響

◇特別講演

「プラネタリーヘルスへの貢献を目指す長崎大学研究者による環境化学物質フィールド研究の取組み」
 講演者:「島原半島における地下水の硝酸性窒素汚染研究の取組み」 中川啓(長崎大学環境科学部・教授)
 講演者:「諫早湾における窒素循環研究の取組み」髙巣裕之(長崎大学環境科学部・准教授)
 講演者:「長崎周辺における大気微量気体およびエアロゾル粒子の観測研究」中山智喜(長崎大学環境科学部・准教授)


◇特別企画

  1. タイヤ・路面摩耗粉塵の生態リスク評価およびリスク管理に向けた最新の動向:TRWP曝露評価の取り組み
  2. 越境大気汚染と健康リスク
  3. 環境化学物質曝露による毒性メカニズム~分子から個体まで~
  4. 化学物質、廃棄物及び汚染に関する政府間科学・政策パネル(ISP-CWP)への我が国学術界からの提言
  5. 日本環境化学会設立35周年記念 特別講演
  6. ハイブリッド環境質量分析2026
  7. 海洋生態系を取り巻く状況と化粧品分野が自然と共存するために必要な取り組み
  8. 田辺信介先生メモリアルセッション


◇ランチョンセミナー 

  1. ペットフードを介したPFAS曝露の実態とその評価:曝露源解析と高マトリックス試料の分析戦略(株式会社ウエリントンラボラトリーズジャパン)
  2. 国家計量標準機関が濃度確認したPFAS認証標準物質のご紹介(CIL/大塚製薬株式会社)
  3. 残留化学物質分析に挑むGC-Orbitrapテクノロジーの紹介(サーモフィッシャーサイエンティフィック)
  4. PFAS分析、何が難しいのか 〜分析者が現場から解説する注意点と必須知識(シグマアルドリッチジャパン合同会社)
  5. PFOS・PFOA等のPFASの水質分析において市販標準液等を用いる場合の留意点等(株式会社ウエリントンラボラトリーズジャパン)
  6. 最新の環境分析を支えるトリプル四重極LC-MS ― 活用ポイントと今後の展望 ―(株式会社エービー・サイエックス)
  7. マイクロプラスチック問題におけるプラスチック同定(日本ウォーターズ株式会社)
  8. 正しい試薬で正しい分析を!<認証標準物質の重要性/PFAS分析に使用する製品のご紹介>(富士フイルム和光純薬株式会社)
  9. 多様な試料中の多成分PFAS分析法の開発に魅了されて(株式会社ウエリントンラボラトリーズジャパン)
  10. NAMs時代を加速する質量分析:環境汚染物質の毒性・健康影響評価とOne Healthへの展開(アジレント・テクノロジー株式会社)
  11. 環境中PFAS最新分析ソリューションと分析ノウハウの紹介(株式会社島津製作所)
  12. 水質・環境分析の今を、もっと実践的に -前処理・分析技術のヒント-(ジーエルサイエンス株式会社)

<主な発表内容>

ポスター発表の様子

ポスター発表の様子

本大会では、PFASをはじめ、プラスチック(マイクロプラスチックを含む)、農薬類、重金属、POPs類など、多岐にわたる分野で発表が行われました。

なかでもPFASは、発表件数が全体の23%を占める主要なテーマとなっており、23日から26日までの全日程を通じて関連する口頭発表が行われるなど、引き続き高い関心を集めていました。さらに、重点テーマセッションではPFASに関するセッションが3つ設けられており、前回大会と比べても注目度の高まりが感じられました。次いで、プラスチック(マイクロプラスチックを含む)に関する発表が全体の14%を占め、PFASと並んで本大会を特徴づけるテーマとなっていました。

本大会でプラスチック関連の研究が注目を集めるなか、当社からは「再生プラスチック中の化学物質管理を目的とした逐次評価手法」に関する研究成果を発表しました。本発表では、再生プラスチック中に混入する可能性のある化審法第一種特定化学物質を対象として、燃焼イオンクロマトグラフ法(CIC)およびエネルギー分散型蛍光X線分析法(EDXRF)による元素スクリーニング、高分解能質量分析による候補化合物の絞り込み、標準品を用いた定量分析へと段階的に評価を進める逐次評価手法について報告しました。また、再生プラスチック試料を用いた概念実証では、規制対象物質の効率的なスクリーニングが可能であることを示しました。

テーマ別では、分析技術(網羅分析・機器分析)に関する発表が85件と最も多く、次いで環境レベル(水圏)に関する発表が54件となりました。分析技術分野では、高分解能質量分析計を用いたターゲット分析やノンターゲット分析をはじめ、LC-HRMS、GC×GC-TOFMS、Py-GC/MSなど、さまざまな分析手法に関する報告が見られました。特に、PFASやプラスチック関連化学物質、POPs類などを対象とした包括的な分析やスクリーニング手法に関する発表が多く、未知・新興環境汚染物質を効率よく捉えるための技術への関心の高さがうかがえました。

また、環境レベル(水圏)に関する発表では、河川、地下水、海域、下水などを対象とした実態調査や分布特性、流出負荷、発生源推定に関する研究が多く報告されました。全体として、本大会では、新興環境汚染物質の実態把握から影響評価、さらには管理や対策につながる研究まで、幅広い取り組みが活発に進められていることが感じられました。

ランチョンセミナーにおいても口頭発表と同様にPFASをキーワードとした講演が中心となっていました。具体的には、ペットフードを介したPFAS曝露実態と曝露源解析、高マトリックス試料に対する分析戦略、市販標準液や認証標準物質の活用、前処理や測定時の留意点、多様な試料を対象とした多成分一斉分析法など、実務に直結するテーマが数多く取り上げられていました。加えて、2026年4月にPFOS・PFOAが水道水質基準に位置付けられたことを背景に、水質分析における標準液使用上の留意点や、環境試料を対象とした最新のPFAS分析ソリューションの紹介も行われており、規制対応を見据えた分析ニーズの高まりが感じられました。

 

来年の第6回環境化学物質合同大会(第35回環境化学討論会)は2027年6月29日(火)~7月2日(金)長野県松本市の松本市キッセイ文化ホール/エア・ウォーターアリーナ松本にて開催予定です。

当社はこの討論会に毎年、複数題の研究発表を行っています。また、実行委員として運営側にも関わっています。今後も本学会への参加を通じて、環境化学物質研究のさらなる活性化を目指していきます。あわせて、分析機関の一員として、技術力を高め、質の高い研究・分析技術支援を継続し、社会貢献していきたいと考えています。