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細胞培養培地中の元素分析

概要

 細胞内の酵素作用や酸化還元反応には様々な金属元素が寄与することが知られています。
バイオ医薬品や再生医療分野における製品開発の場では様々な細胞培養技術が用いられており、特に細胞培地中の成分量は製品の品質を保つ上での重要な指標となります。
 今回は、生体の必須微量元素であるMn、Fe、Co、Cu、Zn、Se、Moに加えて、細胞の増殖に影響するMg、NiをターゲットとしてICP-MSを用いて培地中の元素を測定しました。

分析・試験方法

分析の流れのイメージ

マイクロ波処理により培地中の有機物が分解され、測定時の感度変動や夾雑物による妨害を減らすことができます。

分析・試験事例

【培地中元素濃度】

ES細胞用、CHO細胞用の2種類の市販培地中に含まれる9元素を測定しました。
以下に示す結果の通り、ppb~%オーダーまで幅広く評価が可能です。

表1 培地中元素濃度

表1 培地中元素濃度

【添加回収試験】

ES細胞用、CHO細胞用の2種類の市販培地に対象元素を2濃度(各n=3)添加し、マイクロウェーブ分解装置により分解後、希釈してICP-MSで測定しました。測定結果より添加回収率を算出したところ、91~104%となり、良好な結果が得られ、試験法として有効であることが示されました。

表2 添加回収試験の結果

表2 添加回収試験の結果
培地中相当濃度、定量下限は理論値です。RSD:相対標準偏差

当社では、これら培養関連の評価として元素分析に加えて、アミノ酸、ビタミン、核酸などの有機成分及びそれらの代謝物の分析も受託しています。詳しくは、細胞培養プロファイリングのページをご覧ください。
参照:細胞培養プロファイリング : 株式会社島津テクノリサーチ (shimadzu-techno.co.jp)

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