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PCBについて

概要

当社は、高濃度PCB処理事業、低濃度PCB処理事業、処理施設稼働後のPCB監視・作業環境測定、橋梁塗膜PCB、絶縁油PCB、有機顔料PCB、感圧複写紙 (ノンカーボン紙)PCB、化成品PCBなど、各方面、各ニーズに対応したPCBの測定を実施しています。
 また、いち早く高分解能GCMSを用いたPCBsの詳細分析法を確立し、PCB工業製品の詳細分析データは多方面で活用されています。また、非意図的生成POPsとしてのPCB分析、 POPs環境モニタリングとしてのPCB分析など、国内で最も豊富な実績があります。
 「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル」、「排出ガス中のPOPs(PCB、HCB、PeCB、PCN、HCBD)測定方法マニュアル」、 「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法」など、各種マニュアル等の作成にも参画しています。

特長・用途

ポリ塩化ビフェニル(PCB)とは

 ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、絶縁性、不燃性などの特性によりトランス、コンデンサといった電気機器をはじめ幅広い用途に使用されていましたが、 昭和43年にカネミ油症事件が発生するなど、その毒性が社会問題化し、我が国では昭和47年以降その製造が行われていません。
 世界的にも、一部のPCB使用地域から、全く使用していない地域(北極圏など)への汚染の拡大が報告された事などを背景として、国際的な規制の取り組みが始まっています。

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PCBsの構造式

 

PCBの主な用途

用途 製品例・使用場所 銘柄*
絶縁油 トランス用 ビル・病院・鉄道車両・船舶等のトランス

KC-1000
Ar-T100

コンデンサ用 蛍光灯の安定器・白黒テレビ・電子レンジ等の家電用コンデンサ、直流用コンデンサ、蓄電用コンデンサ KC-300、Ar-1242
KC-400、Ar-1248
KC-500、Ar-1254
熱媒体
(加熱用、冷却用)
各種化学工業・食品工業・合成樹脂工業等の諸工業における加熱と冷却、船舶の燃料油予熱、 集中暖房、パネルヒーター KC-300、400
サントサーム
潤滑油 高温用潤滑油、油圧オイル、真空ポンプ油、切削油、極圧添加剤 KC-300、400、500
可塑剤 絶縁用 電線の被覆・絶縁テープ KC-400、500、600
難燃用 ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂 KC-C
その他 ニス、ワックス、アスファルトに混合  
塗料・印刷インキ ノンカーボン紙(溶媒)、電子式複写紙印刷インキ、難燃性塗料、耐食性塗料、耐薬品性塗料、耐水性塗料 KC-500、600、
KC-C
感圧複写紙 ノンカーボン紙 KC-300
その他 紙等のコーティング、自動車のシーラント、陶器ガラス器の彩色、農薬の効力延長剤、石油添加剤 KC-500、600
KC-Cなど

*KC-1000:KC500約70%とトリクロロベンゼン約30%との混合油(主にトランスに使用)
*Ar:アロクロールAroclor(USA製品)を示す

出典:「ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の適正な処理に向けて」

(2009年版 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)

法規制・規格

PCBの規制について

国際的には、残留性有害汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)が平成16年5月に発効しています。この条約ではPCBに関し、平成37年までの使用の全廃、平成40年までの適正な処分を求めています。
 国内においては、昭和47年に厚生省が一日摂取許容量(5μg/kg/day)及び魚介類の暫定的規制値を設定しており、これに基づき昭和49年に水質環境基準(検出されないこと)が設定されています。
 PCBなどを焼却処分する場合における排ガス中のPCBの暫定排出許容限界は、平均して0.15mg/m3(液状のPCB等の焼却施設にあつては0.10mg/m3)と設定されています。
また、大気に関する環境基準は設定されていませんが、昭和47年に環境省がPCBの暫定排出許容限界を設定する際に、大気の暫定環境濃度を0.0005mg/ m3以下としています。

分析・試験項目

高濃度PCB廃棄物について

 PCBに関し、国際的には、残留性有害汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)で平成37年までの使用の全廃、平成40年までの適正な処分が求められています。
 国内では、平成13年6月22日に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が公布され、同年7月15日から施行されました。 法律の施行により、PCB廃棄物を保管する事業者は保管状況の届出のほか、平成28年7月までの処理(処分)が義務づけられていましたが、この期間内の処分完了が困難であることを踏まえ、処分期限は平成39年3月31日まで大幅に延長されました。(平成24年12月7日 閣議決定)
 PCBを使用していないとする電気機器等で数㎎/㎏から数十㎎/㎏程度のPCBに汚染された絶縁油を含むもの(微量PCB汚染廃電気機器等)についても、PCB廃棄物として適正に処理する必要があります。

詳しくは業務案内「PCB廃棄物の処理に伴う分析」をご覧ください。

低濃度PCB廃棄物について

 低濃度PCB廃棄物とは、 (1)低濃度PCB廃油、(2)低濃度PCB汚染物、(3)低濃度PCB処理物を指し、PCB濃度が5000mg/kg(ppm)(ただし汚泥、紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類については100,000mg/kg)以下のものを指します。
 現在、(1)微量のPCBに汚染された絶縁油を含む電気機器が存在すること (2)PCB廃棄物の保管や処理を行う過程で発生した汚泥、ウエス(雑巾)、活性炭、防護服等の二次汚染物が相当量発生し保管されていること(3)PCBを熱媒体、潤滑油、可塑剤、塗料等に使用した製品が廃棄物になったもののうち、比較的濃度が低いものが相当量存在していることが判明しています。
 これらについてPCB無害化処理認定施設で処理するためには、あらかじめ PCB 含有量を測定し、上限濃度以下であることを明らかにしておく必要があります。
 この調査方法に関しては、環境省及び経済産業省より2022年に「低濃度PCBに汚染された電気機器等の早期確認のための調査方法及び適正処理に関する手引き」が示されています。

「低濃度PCBに汚染された電気機器等の早期確認のための調査方法及び適正処理に関する手引き」

 詳しくは業務案内「低濃度PCB廃棄物に関する測定」をご覧ください。

処理施設稼働後のPCB監視・作業環境測定について

 低濃度PCB廃棄物を処理するための処理施設は、環境省により、PCB無害化処理認定施設として認定を受ける必要があります。
 当社では、認定の際の各種実証試験や、稼働後のPCB監視、作業環境測定等を実施しています。

橋梁等の塗膜中のPCB分析について

 1960年代から1970年代初めに製造及び使用された重防食塗装用途の塩化ゴム系塗料の一部には、PCBが可塑剤として使用されていたことが知られています。これらの塗料は廃棄物として保管されているものの他に、高度成長期の橋梁や建築物のように、現在、修理や改築が必要となってきている構造物に用いられています。
 平成26年9月に公表された「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第2版)」(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)では、こうした橋梁等の塗膜くず(廃塗膜)についても、低濃度PCB含有廃棄物としての測定方法が示されました。
当社では、塗膜くず(廃塗膜)中のPCB分析法に関して様々な検討を行い、多くの知見を保有しています。

詳しくは業務案内「橋梁等の塗膜くず(廃塗膜)中のPCB分析について」をご覧ください。

絶縁油中の微量PCB分析について

 微量PCB汚染廃電気機器等は、PCBが使用されていた電気機器等と異なり、銘板等ではPCBの含有の有無を判断することができないものをさします。これらの多くの電気機器等について、絶縁油に含まれるPCB濃度の測定を行う必要性があります。

詳しくは業務案内「絶縁油中の微量PCB分析」をご覧ください。

その他化成品中のPCBについて

有機顔料中に副生するPCBについて

 2012年2月10日、経済産業省から「非意図的にポリ塩化ビフェニルを含有する可能性がある有機顔料について」とする文書が公表されました。これは、一部の有機顔料において製造工程で非意図的に生成した微量のポリ塩化ビフェニル(以下PCB)が含有されることが判明したため、50ppmを超えてPCBを含有することが判明した有機顔料の製造・輸入、使用の停止や回収などを指導したもので、各省庁において、現在追加の実態把握やリスク評価等が進められています。
 当社では、いち早く有機顔料中に副生するPCBの既存の分析方法の課題を指摘し、適切な前処理方法とGC-HRMSによる詳細異性体分離分析法を開発しました。

 詳しくは業務案内「有機顔料中のPCB分析」をご覧ください。

 化成品の製造工程や製造原料により、非意図的生成を含めPCB混入が発生する事例が報告されています。
 当社では新規化学物質を含め、様々な製品中のPCB分析の実績があります。

ジフェニルシランジオール
 詳しくはアプリケーションズ「ジフェニルシランジオール(有機ケイ素化合物)中のPCBについて」をご覧ください。
クロロベンゼン類等多くの有機塩素系化合物

実績

分析の優位性

1993年以来、いち早くGC-HRMSを用いPCB詳細測定方法の検討・確立及び改良を行い、論文や国内外学会等での発表や、各種共同研究を推進しています。
国内での排出ガス中のPCB測定の公定法策定に携わるなど、各種マニュアル等の作成に参画しています。
排出ガス中のPOPs(ポリ塩素化ビフェニル、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロベンゼン、ポリ塩化ナフタレン、ヘキサクロロブタジエン)の測定方法マニュアル(平成31年3月 環境省 水・大気環境局 大気環境課) http://www.env.go.jp/air/osen/manual2/
PCB工業製品(原体)から、低濃度汚染油調査、環境試料、生体試料の超微量分析、化成品中の微量PCB分析、インベントリー調査、モニタリング事業等、国内随一の多分野、多種、多様に亘るPCB分析実績があります。
外部精度管理として、国内外のクロスチェックに継続参加し、中央値を安定して維持しています。また、内部精度管理としてダイオキシン類分析と同等の水準での高感度分析、厳格なブランク値管理をしています。
試料媒体、濃度レベルに応じ、詳細分析(209異性体の詳細分離分析)から簡易分析まで幅広く対応します。
PCB処理過程における収支、入口検査、汚染の有無、安全性の確認、環境保全、PCB処理油の卒業判定、PCB分解/除去の判定、周辺環境調査など、PCB無害化処理ビジネスにも対応します。

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