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表面改質アルミニウム板のぬれ性評価  
 固体と液体の「ぬれ現象」は身近に見られ、 広範な産業と密接に関係しています。  ぬれ性評価装置は、業種を問わず様々な現場で扱われているぬれ現象を「接触角」や「表面張力」 にて数値化して評価するために用いられています。
 接触角の測定に加え、側面からだけでなく上面からも滴下した溶液の広がる様子が観察でき、真円度、ぬれ面積の算出も可能です。 また、デジタルマイクロスコープなどの表面観察装置も活用し、 総合的な評価が可能です。

 今回は、ぬれ性評価の事例として、アルミニウム板の表面改質(ベーマイト法)での測定事例を示します。
 「JIS H0201 アルミニウム表面処理用語 e)化成処理」の中 でベーマイト法は「高温の純水中でアルミニウムの 表面に皮膜を生成させる方法。これに少量のアンモニア水などを添加して処理する場合もある。」と定義されています。 この2種類の方法でベーマイト処理したアルミニウム板と未処理のアルミニウム板のぬれ性評価試験を行いました。


分析事例1 −温水処理アルミニウム板のぬれ性−

 温水(90℃)30分浸漬によるベーマイト処理アルミニウム板と、未処理のアルミニウム板および比較としてガラス板(プレパラート) の接触角の経時変化を下記に示します 。   
  温水処理アルミニウム板のぬれ性
滴下:純水
 温水処理アルミニウム板では、ガラス板と同様に純水滴下後、短時間で接触角が大きく減少しました。 これは、アルミニウム板表面にベーマイト(アルミナ1水和物)層が形成されたため、水に対してぬれ易くなったことがわかります。


分析事例2 −メタノールアミン処理アルミニウム板のぬれ性−

 アルコールアミン (メタノールアミン)5%添加温水(90℃)30分浸漬によるベーマイト処理アルミニウム板と、 温水処理アルミニウム板、 未処理のアルミニウム板の接触角の経時変化を下記に示します。
  メタノールアミン処理アルミニウム板のぬれ性
滴下:純水
 温水処理アルミニウム板では、純水滴下後、急激に接触角が減少しているのに対し、 メタノールアミン処理アルミニウム板では接触角の減少は緩いカーブを示しています。

デジタルスコープによる表面観察(×1000)
 上記の未処理、温水処理、メタノールアミン処理の3種類のアルミニウム板の表面をデジタルマイクロスコープ゚により観察しました。
 温水処理アルミニウム板表面には直径5〜10μmの細孔が確認でき、 メタノールアミン処理ではさらに微細な多くの細孔が確認できました。

未処理のアルミニウム板 温水処理したアルミニウム板 メタノールアミン処理したアルミニウム板
未処理のアルミニウム板 温水処理したアルミニウム板 メタノールアミン処理したアルミニウム板

 表面観察の結果から、メタノールアミン処理により、アルミニウム板表面に多くの細孔が形成され、 水がゆっくり浸透するため、 接触角の減少が緩やかになったのではないかと推測されます。