概要


高温X線回折測定(高温XRD)
概要
X線回折測定(XRD)では温度を変えながら測定を行うと、加熱・冷却過程における試料の結晶化や相転移などの現象をうまく捉えることができます。
硫酸銅5水和物の加熱過程における結晶相変化を評価した事例、石英の格子定数変化・相転移について評価した事例について紹介します。
特長・用途
相転移・結晶化現象・熱分解・格子定数変化など
分析・試験装置
- 型式 : リガク製 多目的X線回折装置 SmartLab 9kW
温度範囲 :室温~1100℃(コントローラーにより制御)
試料雰囲気:大気・真空・不活性ガス(N2・Ar)
測定対象 :粉末試料・薄膜試料 -
装置本体外観
温調測定ユニット
分析・試験事例
1.脱水過程
硫酸銅5水和物(CuSO4・5H2O)の粉末試料についてTG-DTA測定を行ったところ、図1に示すように3つの温度域で重量減少と吸熱反応がみられました。この温度域に着目し、試料を30℃, 75℃, 105℃, 240℃と段階的に加熱し温度を保持した状態で XRD測定を行った結果、図2に示すように5水和物→3水和物→1水和物→無水物の順に脱水反応が起きていることが確認されました。
図1 TG-DTA測定結果
図2 高温in-situ XRD測定結果
2.格子定数変化・相転移
石英(Quartz)は加熱すると低温型のα-石英から高温型のβ-石英に相転移することが知られています。市販の石英粉末について格子定数変化を評価したところ、図3、4に示すように、α相では加熱に伴い格子定数が大きくなり、570℃付近では相転移による急激な格子定数変化が確認されました。また、β相に転移してからはa軸の格子定数の変化は平坦となり、c軸ではわずかに右肩下がりとなることから負の熱膨張が示唆されました。
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図3 格子定数計算結果(a軸)
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図4 格子定数計算結果(c軸)
関連情報
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