X線CTでは、食品を前処理や加工することなくそのまま内部観察することが可能です。
[サンプルその1] 香辛料(胡椒) 3種
1粒の直径が約4mmの市販のブラックペッパー,ホワイトペッパーおよびピンクペッパーです。
内部観察の結果、ホワイトペッパーとブラックペッパーは、真ん中に1mmφ弱の空洞とその周りには約60μmφの微小な空洞(すいかの種の様)が多数見られました。この2種の中身は同じで、ホワイトペッパーはブラックペッパーの外皮が無いものです。これらに対し、ピンクペッパーの内部は全く異なり、大きな空洞が存在します。
[ブラックペッパー]
[ホワイトペッパー]
[ピンクペッパー]
160CTS
[サンプルその2] 乾麺:はるさめ、そうめん、スパゲティ
はるさめには大きな楕円形の空隙が、そうめんには延伸方向に細長い空隙がそれぞれ認められましたが、スパゲティには空隙は認められませんでした。
[サンプルその3] 棒付きキャンディ
内部観察の結果、気泡が認められたため、空隙の検出を行ない空隙の大きさによって色別に表示しました。
このように内部の空隙の分布状態を可視化できます。
[サンプルその4] サラミとカルパス
カルパスとサラミをX線CTで撮像しました。
サラミは水分量35%以下のドライソーセージですが、カルパスは水分量55%以下のセミドライソーセージです。さらにカルパスは乾燥前に加熱処理しますが、サラミは乾燥処理のみです。
観察像には赤身と脂肪や香辛料との密度の差異がコントラストに反映されています。黒い点に見えるものが内部の空隙、白く見えるものが香辛料です。
内部のボイドの欠陥解析を行いました。カルパスのほうが、大きなボイドが多いことがわかります。 また、赤身、脂肪の体積比を解析しました。サラミよりカルパスのほうが脂肪が少ないことがわかります。
●ボイド解析結果
●赤身、脂肪の体積比
[サンプルその5] コーヒー豆:市販品
内部観察の結果、焙煎豆には生豆よりも大きな空隙が存在し、焙煎度が高くなるほど空隙が大きくなることが認められます。
[サンプルその6] チョコレート:市販品
内部に存在する気泡が明瞭に確認できます。
[サンプルその7] 栗まんじゅう:市販品
皮と餡の密度の差異がコントラストに反映されています。