概要


回転式レオメータによるスキンケア製品の粘度評価(せん断速度依存性)
概要
回転式レオメータでは、上下2枚のプレートに挟まれた試料に連続回転を与え、そのときのせん断速度とせん断応力から粘度η[Pa・s]を算出します。
せん断速度を段階的に変化させたときの粘度変化をプロットした粘度曲線(フローカーブ)から流動挙動を評価することができます。
今回は、フローカーブによるスキンケア製品の粘度評価をご紹介します。
スキンケア製品の粘度特性は、容器からの取り出しや肌への塗布などの触動作における官能特性に影響を与えます。

図1 測定イメージ

図2 フローカーブ
分析・試験装置

図3 装置外観
回転式レオメータ HAAKE MARS60
(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
分析・試験事例
● フローカーブによるスキンケア製品の粘度評価(せん断速度依存性)
ハンドクリーム、 ワセリン、 およびクレンジングオイルについてフローカーブによる粘度評価を行いました。ハンドクリームは配合が異なる2種類を用いました。
[測定条件]
● 温度 : 23℃(ペルチェ式)
● せん断速度範囲 : 10-2~103[1/s]
● せん断速度範囲 : 10-2~103[1/s]
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
---|---|---|---|---|
試 料 | ハンドクリーム A | ハンドクリーム B | ワセリン | クレンジングオイル |
成 分 | 油性>水性 | 油性<水性 | 油性 | 油性⋙水性 |
容器から取り出す 際の触感 |
重い | 軽い | 重い | 非常に軽い |
[測定結果]
今回の測定で得られたフローカーブ(図4)から、ハンドクリームA・Bおよびワセリンはせん断速度の上昇に伴い粘度ηが低下する「ずり流動化挙動(シアシニング)」を示しました。一方、クレンジングオイルはせん断速度の上昇に対して粘度ηが変化しない「ニュートン流動挙動」を示しました。
表1にはフローカーブから抽出した粘度ηを示しており、特定のせん断速度における粘度ηを試料間で比較可能です。
表1にはフローカーブから抽出した粘度ηを示しており、特定のせん断速度における粘度ηを試料間で比較可能です。

図4 フローカーブ
表1 粘度比較
粘度η[Pa・s] | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
せん断速度 |
10-2 | 10-1 | 1 | 10 | 102 | 103 |
ハンドクリーム A |
14630 |
1801 |
321 |
48.8 |
5.16 |
0.407 |
ハンドクリーム B | 4495 | 550 | 95.0 | 21.1 | 2.71 | 0.453 |
ワセリン | 2235 | 373 | 74.4 | 16.3 | 3.07 | 0.631 |
クレンジングオイル | 0.042 | 0.074 | 0.073 | 0.071 | 0.070 | 0.068 |
非ニュートン流体の粘度評価では、せん断速度は重要なパラメータです。
回転式レオメータでは、1回の測定で広いせん断速度範囲における粘度ηを取得できます。得られるフローカーブからは、流動挙動の評価だけでなく、特定のせん断速度に対する粘度ηを出力することが可能です。
関連情報
分析・見積のご依頼・お問い合わせ
まずは、ご相談からご依頼まで、お気軽にお申しつけください。