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FT-IRによる樹脂の定性

2011年07月19日更新

概要

 フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)は、分子の構造を解析する装置であり、有機化合物及び、一部の無機化合物の構造解析に用いられます。 FT-IRにより高分子化合物(ゴム、紙、プラスチック、繊維、布、接着剤など)の構造解析を行い、その化合物を判別することが出来ます。

分析・試験事例

 飲料用として用いられるペットボトルにはcold用とhot用があり、用途により使い分けられています。
 市販のペットボトル容器(cold用、hot用)を用いて顕微鏡観察、FT-IR測定を行いました。

 顕微鏡による断面観察の結果、hot用は多層構造でした。
 hot用の容器については観察された多層樹脂について、内面、中間層、外面のスペクトル測定を行った結果、 内面、外面はPET、中間層はポリアミド系樹脂(ナイロン)であることが確認されました。
 hot用はPETでナイロン層をサンドイッチする構造になっていることがわかります。
 cold用は、内面と外面のスペクトル測定の結果、どちらもPETであることがわかります。

cold用PETボトル断面図

cold用PETボトル断面図

hot用PETボトル断面図

hot用PETボトル断面図

図1  cold用 赤外吸収スペクトル

図1 cold用 赤外吸収スペクトル

図2 hot用 赤外吸収スペクトル

図2 hot用 赤外吸収スペクトル

■まとめ

 樹脂の判別だけでなく、スペクトル中の特徴的な吸収(官能基)から樹脂の表面状態を評価することも可能です。
 また、複数の樹脂の混合物、可塑剤・添加剤などの影響で判別が難しい場合は、樹脂を物理的、化学的に分離させて個々に測定し、判別することも可能です。

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