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リチウムイオン二次電池のセパレータの比表面積・細孔分布測定

2013年11月19日更新

概要

 リチウムイオン二次電池(LIB)のセパレータは、正極と負極を分離し、内部短絡を防止するとともに、イオンを通す役割があります。セパレータは細孔構造で、この細孔の孔径、分布によってイオンの通り方が変化するため、これらを制御することは重要です。
 今回は、放電済みのLIBからセパレータを取り出し、乾燥後、ガス吸着法と水銀圧入法により比表面積値と細孔分布を測定しました。

試料

 放電済みのLIBから取り出した2種類のセパレータ

分析・試験方法

比表面積測定:N2ガス吸着法(大容量セル使用)
試料を約15時間減圧脱気した後、N2ガス吸着法で吸脱着等温線を測定しました。

細孔分布測定:水銀圧入法(5ccセル使用)
ガス吸着測定後の試料を、折りたたんでセルに採取し、水銀圧入法で測定しました。

分析・試験結果

 図1にN2ガス吸着法で測定した吸脱着等温線、図2に水銀圧入法による細孔分布測定結果を示します。また、表1に測定結果をまとめました。  両法の測定結果から明確な差があることが分かります。

 吸着等温線の形状から、セパレータA,Bともに細孔直径2nm以下の微細孔はなく、ガス吸着法の測定範囲(測定上限:直径約300nm)を超える大きな細孔が存在していると考えられます。
 また、多点BET法で比表面積値を算出するとセパレータA 7.9m2/g、セパレータB 15.7m2/gでした。
 細孔分布測定結果から、セパレータAの細孔は、セパレータBと比較して大きい領域に分布していることが分かります。

図1 N2ガス吸着法による吸脱着等温線

図1 N2ガス吸着法による吸脱着等温線

図2 水銀圧入法による細孔分布

図2 水銀圧入法による細孔分布

表1 セパレータの比表面積、細孔分布測定結果

試料 ガス吸着法 水銀圧入法(細孔直径10~4000nm)
比表面積 多点BET法 (m2/g) 細孔容積 (mL/g) メディアン径 (nm)
A 7.9 0.484 302
B 15.7 0.391 94

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