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ヘッドスペースGCを用いた軟包装材中の残留溶剤測定

概要

軟包装材は、食品や医薬品をはじめとしたさまざまな日用品の包装に用いられています。この軟包装材を製造する過程で使用される有機溶剤が製品に残留してしまうと、品質トラブルや異臭クレームの原因となります。
今回は軟包装材中の残留溶剤について、軟包装材の製造に関する管理機器マニュアル第6版を参考に、ヘッドスペースGCを用いて測定した事例をご紹介します。

ヘッドスペースGC分析装置

Nexis GC-2030 + HS-20 NX(島津製作所 製)

分析・試験事例

標準試料の測定

残留溶剤として代表的な化合物21成分を混合した標準溶液を調製し、ヘッドスペースバイアルへの封入量を変えることで、2濃度の標準試料を作製しました。
これら標準試料を80℃で30分保温し、ヘッドスペースガスを採取して分析しました。標準試料を測定した際に得られたクロマトグラムを図1に、検量線の代表例としてエタノール、i-プロパノールそれぞれの検量線を図2、図3に示します。

図1  標準試料 (21成分) のクロマトグラム

図1 標準試料 (21成分) のクロマトグラム

  • エタノールの検量線

    図2  エタノールの検量線

  • i-プロパノールの検量線

    図3 i-プロパノールの検量線

実試料

市販の食品包装剤を採取し、実試料としました。これをヘッドスペースバイアルに封入後、80℃で 30分保温し、ヘッドスペースガスを採取して分析しました。
その結果、エタノール、i-プロパノールをはじめ、10種類以上の有機溶剤が検出されました。測定した際に得られたクロマトグラムを図4、検出された化合物の定量結果を表1に示します。

図4 実試料のクロマトグラム

図4 実試料のクロマトグラム

 

  • 表1 実試料の定量結果 (mg/m2)

    表1 実試料の定量結果 (mg/m2)
  • 実試料

    実試料

 注)検出限界は標準試料測定時のS/N比の値をもとに、S/N =2に相当する濃度として算出しました。
  今回の測定で検出されなかった成分は、検出下限に不等号を付して表記しています。

 

このように、ヘッドスペースGCを用いることで、軟包装材中の残留溶剤測定が可能です。また当社では、軟包装材の異物検査にも対応しています。お気軽にご相談ください。


参考文献
軟包装材の製造に関する管理機器マニュアル 2017年10月 第6版発行 軟包装衛生協議会

2024.04.23 357 /471