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におい嗅ぎ-GC-MSによる生活環境で感じられる良い香りの評価

2012年11月19日更新

概要

 生活環境の中で感じられるにおいは、大きく分けると、不快なもの・芳香といわれるような香り付けによる良いにおいになります。
 今回は洗濯に関わる良い香りについて、におい嗅ぎ-GC/MSを用いた測定事例を紹介します。

試料

■衣類の芳香剤臭

 最近注目を浴びている、衣類用香り付け製品を使用して洗濯をした衣服のにおいについて、におい嗅ぎGC-MSを用いて測定しました。

分析・試験方法

 測定は子供用シャツに市販の衣類用香り付け製品を用い、半日間着用後に行いました。
その試験条件を表1に、サンプリングの様子を図1に示します。また、使用した衣類用香り付け製品そのものも測定して比較評価しました。

図1 サンプリングの様子

図1 サンプリングの様子

表1 試験条件

条件

衣類用香り付け製品を使用した衣服
(子供用シャツ:半日着用後)

臭気 衣類用香り付け製品と同じ香料臭+汗くさいにおい
臭気強度2~2.5

分析・試験結果

 

■におい嗅ぎ-GC-MSによる測定結果

香り付け製品を用いた後、着用した衣類のクロマトグラムを図2に、香り付け製品のクロマトグラムを図3に示します。

図2 香り付け製品を用いた後、着用した衣類のクロマトグラム

図2 香り付け製品を用いた後、着用した衣類のクロマトグラム

図3 香り付け製品のクロマトグラム

図3 香り付け製品のクロマトグラム

 測定の結果、両試料から多くの香料成分が検出されました。
 衣類用香り付け製品の香気と、衣類用香り付け製品を洗濯時に使用して半日間着用した衣類を比較すると、着用後でも、衣類からは香り付け製品の香気が確認できました。
 なお、衣類のにおいを、直接人の嗅覚で確認すると、衣類用香り付け製品由来の香気とともに汗くさいにおいが確認できました。また、におい嗅ぎGC-MSの結果では、香料成分とともに、生地様臭や発酵様臭、カビ様臭といった、素材からの臭気や着用による不快なにおいがにおい嗅ぎ部で確認できました。
 このように、におい嗅ぎGC-MSを用いることで、官能評価やクロマトグラムの比較のみでは判断できない複雑なにおいを識別することが可能でした。