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ビーズ置換法による錠剤のかさ密度測定および気孔率測定

概要

かさ密度とは、サンプル自身と細孔、空洞の容積を含む体積で試料重量を除したものです。
本測定法では液体を使用しないため、サンプルを破壊することなくかさ密度測定が可能です。触媒やセラミックス焼結、鉄鉱石ペレット、錠剤などの工業製品の特性値としてかさ密度が使用されます。
今回、2種類の錠剤を用いたかさ密度測定、気孔率測定について紹介します。

分析・試験装置

ジオピックス 装置
チャンバー

※サンプルサイズに適したチャンバーを使用します

マイクロメリティックス社製  かさ/タップ密度測定装置

GeoPyc 1365


[圧縮力範囲]
  5N~170N
[チャンバー内径]
 12.7mm
 19.1mm
 25.4mm
 38.1mm
 50.8mm

分析・試験方法

  • はじめに、サンプルチャンバーに疑似流体ビーズ(DryFlo)のみを投入し体積を測定します。次に、ビーズの入ったチャンバーにサンプルを投入し、ピストン移動距離の差を測定することによってサンプルのかさ密度(サンプル質量を細孔と空洞を含むサンプルの体積で割った値)を求めます。


       かさ体積 V =πr 2h/1000
       かさ密度 ρ =m/V



     V  : かさ体積[cm3]       ρ  : かさ密度[g/cm3]

     r  :チャンバー内径(半径)[mm]  m  :サンプル質量[g]

     h  :ピストン移動距離[mm]


    ※本試験法に用いるサンプルは2㎜以上の大きさが必要です
  • サンプルチャンバー試験

分析・試験事例

ビーズ置換法による錠剤のかさ密度測定

細孔をもつ錠剤のかさ密度測定を行いました。
2種の錠剤は有効成分の含有量および形状が異なるものを測定しました。

 

錠剤

[測定条件]
 チャンバー内径     : 12.7mm
 圧縮力         : 28N

 

 
[測定結果]
有効成分の含有量の違いによる錠剤2種のかさ密度は同等でした。
試料名 有効成分含有量
[mg]
1錠の質量
[g]
かさ体積
[cm3]
かさ密度
[g/cm3]
錠剤1 100 0.338 0.302 1.119
錠剤2 150 0.365 0.324 1.124

 

ビーズ置換法と気体置換法による錠剤の気孔率測定

ビーズ置換法で得られるかさ密度と、気体置換法で得られる見かけ密度の値から錠剤の気孔率を下の式を用いて算出しました。

      気孔率(%) = ( 見かけ密度 - かさ密度 ) / 見かけ密度 × 100

また、算出した気孔率を水銀圧入法で得られた気孔率と比較しました。
 

[測定結果]
気孔率は、錠剤1と比較して錠剤2の方が低い結果でした。
また、ビーズ置換法と気体置換法で得られる密度の値から算出した気孔率は、水銀圧入法で得られる気孔率と同等でした。
試料名 気体置換法 ビーズ置換法 気孔率
(気体置換法、ビーズ置換法)
[%]
気孔率
(水銀圧入法)
[%]
見かけ密度
[g/cm3]
かさ密度
[g/cm3]
錠剤1 1.444 1.119 23 23
錠剤2 1.404 1.124 20 20

 気体置換法の詳細(アプリケーション)はこちらからご確認いただけます。
 


本測定法を用いた気孔率の測定では、水銀圧入法のようにサンプルを破壊することがないため、希少なサンプルの測定に有効です。

2023.09.28 369