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乾式密度測定(気体置換法)

概要

密度には「真密度」、「見かけ密度」、「粒子密度」、「かさ密度」など定義の異なるものが複数あります。
これは試料内の気孔や試料間の空隙等を試料体積に含めるかによって使い分けられています。
今回の気体置換法で得られる密度は、気体が侵入できない閉細孔が存在しない試料では「真密度」、閉細孔が存在する試料ではその容積を試料体積に含んだ「見かけ密度」となります。
固体からペースト、液体までさまざまな試料を測定可能な乾式密度測定(気体置換法)にて潮解しやすい試料・微小サイズの試料を測定した事例をご紹介します。

※密度の定義は測定手法や分野等によって 微妙に異なる場合があり、上記の定義は絶対的なものではありません。

分析・試験装置

マイクロメリティックス社製 乾式自動密度計 アキュピックII 1340

マイクロメリティックス社製  乾式自動密度計 アキュピックII 1340

● 10cm3モデル

 1cm3モデル

機種 10cm3モデル 1cm3モデル
最大試料容量 3.5cm3 10cm3 0.1cm3 1cm3
内径×深さ(mm) 16.9×17.5 18.0×39.3 5.3×6.4 11.5×11.0
試料セル外観 10cm3モデル 3.5cm3 10cm3モデル 10cm3 1cm3モデル 0.1cm3 1cm3モデル 1cm3

 

原理

原理の説明図

容積が既知の試料室(VCELL)と膨張室(VEXP)があり、試料室に試料(VSAMP)を投入します。試料室を定圧力P1にした後に両室間のバルブを開けると、系の中の気体が膨張し圧力P2に変化します。この圧力変化を測定することで、下記の式から試料の体積が計算できます。
この体積と試料の重量から密度が得られます。

 

 

  • 式
  • 用語

 

分析・試験事例

医薬品粉末の密度測定

解熱鎮痛剤の細粒約0.56 gを1cm3の試料セルに入れて密度測定を行いました。
同一試料の繰り返し5回測定の結果から再現性を確認しました。

 

解熱鎮痛剤の細粒

[測定条件]
 測定方法    : 定容積膨張法
 置換ガス    : ヘリウムガス
 試料セル    :  1cm3セル

 

 [測定結果]
粉末試料について、変動係数が約0.01 %という高い再現性が確認できました。
測定にガスを使用するため、医薬品のような液体に溶解しやすい試料でも密度測定が可能です。

測定No. 体積 [cm3] 密度 [g/cm3]
1 0.3787 1.4852
2 0.3786 1.4857
3 0.3787 1.4855
4 0.3787 1.4853
5 0.3787 1.4855
平均 0.3787 1.4855
標準偏差 0.00004 0.00016
変動係数(%) 0.0098 0.0108

微小サンプルの体積測定

ベアリング用スチールボール(直径2mm)を0.1cm3の試料セルに複数個(今回の事例では3、5、10個)を入れて体積測定を行い、個数と体積の関係から1個当たりの体積を求めました。 

  • セル

     

    [測定条件]
    測定方法    : 定容積膨張法
    置換ガス    : ヘリウムガス
    試料セル    :  0.1cm3セル
     

     [測定結果]
    個数と体積は良好な直線関係を示し、その式から算出した球1個当たりの体積は0.0042cm3 です。これは球の直径から算出した体積0.0042cm3 と一致します。
    このように、微小体積の試料に対して正確な体積測定が可能です。

  • スチールボール


    直径:2.00mm (標準偏差0.002mm)
    ※デジタルマイクロスコープによる寸法計測
    ※直径は10個の計測による平均値

     

    結果グラフ

 

2023.06.09 369