概要


粒子の圧縮試験
2020年12月11日更新
概要
粒子の破壊強度を圧縮試験により調べる場合、多くは微小圧縮試験機MCT-510を用いますが、高強度な微小粒子や、100 μm以上変形する大粒子などでは装置スペックの試験力やストローク(変位)を超える試料もあります。この様な試料に対して微小強度評価試験機マイクロオートグラフMST-Iが威力を発揮します。今回は、微小圧縮試験機MCT-510では評価できない様な粒子について、微小強度評価試験機マイクロオートグラフMST-Iで試験を行った例を紹介します。
分析・試験装置
島津製作所製 微小強度評価試験機マイクロオートグラフMST-I
特徴・用途
~微小強度評価試験機マイクロオートグラフMST-Iと微小圧縮試験機MCT-510との比較~
装置 | 微小強度評価試験機 マイクロオートグラフMST-I |
微小圧縮試験機MCT-510 |
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試験力測定範囲 | ±2 mN~±2000 N | 9.8 mN~4.9 N |
ストローク(変位) | ±60 mm | 100 μm |
観察 | 実体顕微鏡 | 光学顕微鏡、サイドカメラ |
■特徴 ~特に微小圧縮試験機MCT-510では装置スペックを超える試料の場合~
・ | 4.9 N程度では破壊しない粒子の圧縮試験が可能(微小圧縮試験機MCT-510の最大試験力;4.903 N) |
・ | 100 μm以上変形する粒子の圧縮試験が可能(微小圧縮試験機MCT-510の最大変位測定;100 μm) |
・ | 転がりやすい粒子の圧縮試験が可能(微小圧縮試験機は粒子を載せた試料台のステージ移動がある) |
・ | 実体顕微鏡により試料の観察が可能 |
・ | 100 μm程度の微小粒子1粒1粒の圧縮試験が可能 |
分析・試験事例
<試験1>ガラスビーズの圧縮試験
φ200 μmのガラスビーズの圧縮試験を微小圧縮試験機MCT-510で行いましたが、装置最大試験力(4.9 N)まで負荷を与えても破壊は起こらず、また、粒子径の10 %(20 μm)変形にも至りませんでした。そこで、微小強度評価試験機マイクロオートグラフMST-Iで試験を行なった結果、試料が破壊するまで圧縮でき、破壊時(破壊点)の試験力から破壊強度の算出が可能でした。

※破壊強度Cs = 2.48 × P /(πd2) |
![]() 実体顕微鏡写真 試験後、試料は破壊時の衝撃により飛散しました。 |
※破壊強度Cs = 2.48 × P /(πd2) |
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![]() 実体顕微鏡写真 |
<試験2>樹脂ボールの圧縮試験
直径およそ17 mmの樹脂ボールの圧縮試験を行い、破壊強度を算出しました。樹脂ボールは、試料台中央に載せ、上から圧盤で負荷を与えました。
P ; 破壊試験力[N] d ; 直径[mm] |
![]() |
P ; 破壊試験力[N] d ; 直径[mm] |
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試験中の写真から、試験力の負荷により粒子が徐々に圧縮されていき、縦に亀裂が入る様子が確認できます。また、「試験力-ストローク」グラフにおいて、破壊点(3)で試験力が急激に落ちていることから、亀裂により一気に破壊が起こったことが分かります。
■まとめ
微小圧縮試験機MCT-510では評価できなかった高強度な微小粒子や、100μm以上変形する大粒子についても、今回、微小強度評価試験機マイクロオートグラフMST-Iを用いることで評価が可能であることが示されました。