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マイクロニードルの圧縮試験

2021年08月25日更新

概要

工業製品の中にはマイクロピラーやマイクロニードルなど多くの微小構造体があります。中でもマイクロニードルは医療・美容分野における最先端技術として研究開発が進められている経皮薬物送達システム(TDDS)技術の一つです。
 マイクロニードルは薬剤成分を超微細な突起形状に成形、またはプラスチックニードルの先端に塗布し皮膚内へ挿入することで薬剤成分を体内へ浸透・投与することができます。マイクロニードルは皮膚への挿入時に折れや曲がりの起こらない強度が要求され、微小圧縮試験機を用いることによりマイクロニードル1本の強度評価が可能となります。
 マイクロニードルの評価事例として、美容向けマイクロニードルの圧縮試験をご紹介します。

試料

マイクロニードル(美容、医療)

分析・試験装置

■装置

 微小圧縮試験機 高温システム付きMCT-510 (島津製作所製)

■装置仕様

項目 詳細内容
試験力 Max. 4,903 mN
変位 Max. 100 μm
圧子先端径 20, 50, 100, 200, 500, 1,000 μm

■特徴

数μm~の微小構造体の圧縮試験が可能
多数の構造体が並んだ中から1本を狙って圧縮試験することが可能

 

分析・試験方法

 100 μmの平面圧子を使用し、ヒアルロン酸を超微細な針状に結晶化した2種類のマイクロニードルA,Bに対して圧縮試験を行い、座屈荷重を測定しました。マイクロニードルの先端径はそれぞれAがφ約40 μm、B がφ約55 μm、高さはいずれも約200 μmです。

試験方法

分析・試験結果

 マイクロニードルA,Bに対して各3本を圧縮試験した結果、それぞれのマイクロニードルにおいて同程度の試験力で座屈が起こり再現性の良い試験が実施できました。
マイクロニードル1本あたりの座屈荷重は、平均値よりAが69.3 mN、Bが138.4 mNであり、種類(形状)により耐荷重が異なることがわかりました。 試験前後のサイド観察画像において、マイクロニードルが座屈により屈曲した様子が確認できます。

図 試験力-圧縮変位グラフ

図 試験力-圧縮変位グラフ

表 試験結果

表 試験結果
図 試験前後のサイド観察画像

図 試験前後のサイド観察画像

関連情報

2021.08 369