概要


低湿度環境における潮解性粒子の微小圧縮試験
概要
微小圧縮試験ではマイクロメートルサイズの小さな粒子が主な測定対象です。粒子は径が小さくなると、比表面積(m2/g)が大きくなります。そのため、温度や湿度など試験環境によって、物性が変化することがあります。
特に高い吸湿性を持つ材料では、吸湿による物性の経時変化や、潮解による測定の困難さが課題となります。
そこで、これらの材料への対策として、ガスパージ機構の付いたフードを作製し微小圧縮試験装置をこのフードで覆い、低湿度環境での測定を可能にしました。
今回は、低湿度試験用フードを使用した低湿度環境下での潮解性粒子の微小圧縮試験についてご紹介します。
分析・試験装置
- 微小圧縮試験機 MCT-510 (島津製作所製)
仕様
項 目 詳 細 試験力 Max. 4,903 mN 変位 Max. 100 μm 圧子先端径 20, 50, 100, 200, 500, 1,000 μm - 低湿度測定用フード(当社オリジナル)
仕様
項 目 詳 細 置換ガス 窒素ガス 相対湿度 Min.2%RH※ 露点温度 Min.-28℃※ ※フード外の環境により変動します。
分析・試験事例
潮解性を持つ炭酸カリウム粒子の潮解の様子、および圧縮試験による粒子の破壊挙動を相対湿度5%RHの低湿度環境で確認しました。また、比較のために相対湿度50%RH環境でも潮解の様子、および破壊挙動を確認しました。
試験環境
● 温度 : 23℃(ガス置換したフード内、フード外)
● 湿度 : 5%RH(ガス置換したフード内)、50%RH(フード外)
圧縮試験条件
● 試験力 : 400mN
● 負荷速度 : 10.4mN/sec
測定結果
5%RHの低湿度環境では、潮解の進行は見られませんでした。
圧縮試験では破壊点が確認でき、粒子の破壊強度を求めることができました。
一方、50%RH環境では、粒子は下部加圧盤上に散布した直後から潮解が進行し、60秒後に液状となりました。液状になるまでの潮解が進行している粒子について圧縮試験したところ、破壊点のない連続的な変形が起こりました。
試験環境によって物性変化が起こる潮解性粒子のような試料は、試料に適した環境下で試験することが正確な評価に繋がります。

相対湿度5%RH環境における粒子の様子

相対湿度50%RH環境における粒子の様子(潮解の進行)


低湿度試験用フードを活用した微小圧縮試験は、潮解性粒子の研究・開発、品質管理において有用な手法となります。
潮解性粒子の評価でお困りの際は、当社にお問い合わせください。