概要


医薬品・食品の有機元素分析装置によるCHN測定
概要
今回、さまざまな試料中の炭素(C)、水素(H)、窒素(N)の分析が可能な有機元素分析装置(CHN計) vario EL cube(elementar製)を導入しましたので紹介します。この装置では有機化合物や天然物だけでなく、バイオマス材料、食品などの幅広い試料に対応できます。
分析・試験

装置外観
分析装置 vario EL cube (elementer製)
燃焼管温度 950 ℃
還元管温度 600 ℃
測定項目 炭素、水素、窒素
投入する試料量 有機物 : ~50 mg 土壌 : ~1.5 g
使用ガス キャリアガス : アルゴン 燃焼ガス : 酸素
- 試料を金属容器に入れて秤量後、金属容器で包み込み、分析装置に投入して燃焼させ、測定します。
分析試料の例
有機化合物、燃料・炭素材料、バイオマス材料、廃プラスチック、汚泥、土壌、食品、肥料など
試料容器
試料によって、大きさ・材質・形状を変えて対応します。(写真の1マスは1 cm)


分析・試験事例
分析例 1
アンチピリンと4-ニトロアニリンを分析した例です。 理論値に近い値が得られました。
理論値からのズレは±0.3%以内でした。
単位:質量%
試料 | 炭素 | 水素 | 窒素 | |
---|---|---|---|---|
アンチピリン (C11H12N2O) |
分析値 | 70.3 | 6.42 | 14.9 |
理論値 | 70.2 | 6.43 | 14.9 | |
4-ニトロアニリン (C6H6N2O2) |
分析値 | 52.3 | 4.37 | 20.4 |
理論値 | 52.2 | 4.38 | 20.3 |
分析例 2
食品を分析した例です。
小麦粉ときな粉、キャベツとブロッコリー(葉)を比較したところ、炭素、水素、窒素の値で差が見られました。
窒素については、他の元素よりも含有量の差が大きくなりました。
小麦粉の窒素含有量が1.8質量% 、きな粉の窒素含有量が6.1質量%となっています。これは、それぞれの原料である小麦と大豆のたんぱく質の含有量の差が表れていると考えられます。
また、キャベツの窒素含有量が2.9質量% 、ブロッコリーの窒素含有量が5.2質量%となっています。これは、それぞれの野菜に含まれるたんぱく質、アミノ酸、硝酸塩、アンモニウム塩などの含有量の差が表れていると考えられます。
単位:質量%
試料 | 炭素 | 水素 | 窒素 |
---|---|---|---|
小麦粉 | 42.3 | 6.64 | 1.8 |
きな粉 | 50.3 | 7.39 | 6.1 |
キャベツ | 39.0 | 6.08 | 2.9 |
ブロッコリー (葉) | 43.0 | 6.36 | 5.2 |