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ハロゲン元素を含む有機化合物(医薬品原薬など)のCHN元素分析事例

概要

ハロゲン元素を含む有機化合物は、多くの医薬品原薬に利用されています。その主な理由の一つは、これらの元素が有機化合物の性質を向上させる働きを持っているためです。
一方で、このような有機化合物をCHN元素分析する際には、ハロゲン元素による測定値への干渉や、装置内部の腐食・汚染が生じる可能性があるため、ハロゲン元素を吸収する助剤を添加するなどの対策を講じ、影響を最小限に抑える必要があります。

本アプリケーションでは、構成元素としてフッ素を含む抗生物質ノルフロキサシンと、塩素を含む有機化合物S-ベンジルチウロニウムクロリドの分析事例をご紹介します。

試料

・ノルフロキサシン(C16H18FN3O3)
・S-ベンジルチウロニウムクロリド(C8H11N2ClS)

分析・試験方法

vario EL cube  (elementer製)

図1 装置外観
vario EL cube

表1 測定概要
分析装置 vario EL cube (elementar製)
測定項目 炭素・水素・窒素
測定方法 燃焼分解 - 酸化還元法
使用ガス アルゴン、酸素
標準試料 アセトアニリド

分析・試験事例

ノルフロキサシンとS-ベンジルチウロニウムクロリドを分析した結果を下表に示します。
両物質とも理論値に近い値が得られました。また、ハロゲン元素による装置の損傷は見られませんでした。
 

 表2 ノルフロキサシン・S-ベンジルチウロニウムクロリド 測定結果

単位:質量%

試料名 炭素 水素 窒素
ノルフロキサシン
(C16H18FN3O3)
分析値 60.1 5.91 13.0
理論値 60.2 5.68 13.2
S-ベンジルチウロニウムクロリド
(C8H11N2ClS)
分析値 47.5 5.40 13.9
理論値 47.5 5.47 13.8

 

以上のように、ハロゲン元素を含有した有機化合物に対しても、助剤添加などの対策を行うことでCHN元素分析をすることができます。炭素・水素・窒素の含有量調査などの研究にご活用ください。*

*ハロゲン元素の含有量が、30質量%を超える試料は分析できない場合があります。
 

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