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ラマン分光法とX線回折法による構造の評価

2015年09月16日更新

概要

 鉱物の構造評価にはX線 回折法がよく用いられますが、今回はラマン分光法でも評価した事例を
ご紹介します。
 電気石(トルマリン)は種類によって含まれる元素が微妙に異なり、それによって色も 異なる鉱物です。
 今回は、紅色と緑色の電気石についてその構造評価を試みました。
電気石

分析・試験事例

■X線回折測定

 図1に回折パターンを示します。
 紅色と緑色の電気石はほぼ同じパターンですが、紅色の方が、やや回折角度が高い傾向を示しました。 構成元素の違いに由来するもので、イオン半径の小さい元素が緑色より紅色に多く含まれるためではないかと推察されます。

図1 X線回折パターン

図1 X線回折パターン

■ラマン分光測定

 図2にラマンスペクトルを示します。
 概ね3800~3400cm-1 の範囲に現れるO-Hバンドのピークの振動数やバンド幅に明瞭な違いが見られました。 これは結晶構造中のO-Hに配位する金属が異なるためです。
 文献のデータから、紅色と緑色の電気石にはAlの他にLiとFeがOHに配位していると推察されます。
 ※CHARACTERIZATION OF VIBRATIONAL AND ELECTRONIC FEATURES IN THE RAMAN SPECTRA OF GEM MINERALS   Renata Jasinevicius 著

 X線回折測定における回折角度の違いとラマン分光のデータより、緑色と紅色はAl、Li、Feの濃度が異なると考えられます。

	図2 ラマンスペクトル

 図2 ラマンスペクトル

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