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清酒中のLC-MS/MSを用いたプリン体高感度分析
 核酸(DNA、RNA)は、プリンおよびピリミジン塩基、糖、リン酸からなるヌクレオチドが重合した高分子で、生体内で遺伝情報を担う成分として重要な化合物です。
 核酸成分であるプリン骨格を含むプリン体は、体内で代謝され、体内では最終的に尿酸となって一部尿中に排出されます。尿酸は血液中では一定濃度に保たれるようになっていますが、何らかの原因により血液内濃度が過剰(高尿酸血症)になると、結晶として関節などに蓄積し、痛風を引き起こす原因になっています。そのため摂取する食物中のプリン体も血清尿酸値に寄与することが懸念され、プリン体を減らした酒類や商品が新商品として販売されています。
 酒類中に含まれるプリン塩基をLC-MS/MSにより高感度・高選択的に分析した例を紹介します。
■構造
 今回測定対象とした5種類のプリン塩基の構造を示します。(図1)

  尿酸   ヒポキサンチン   キサンチン   アデニン   グアニン
  尿酸   ヒポキサンチン   キサンチン   アデニン   グアニン
  図1 プリン塩基の構造
■分析条件および検量線
 分析に用いたLCカラムは、一般的なODS(C18)カラムではなく、Discovery HS F5を用いて検討を行いました。
 LC-MSのイオン化は、ESI法を用い、正・負イオンモードにていずれのプリン塩基もイオン化が確認されました。


分析機器 LC-10Aシステム(島津製作所)
API-4000 (AB SCIEX)
カラム Discovery HS F5 (2.1 mm(i.d.)×150 mm、3μm) (SUPELCO製))
移動相 A: 0.05%ギ酸、 B: メタノール
流速 0.2 mL/min
イオン化 ESI Negative (MRM)
設定質量数(m/z)
プレカーサーイオン プロダクトイオン
尿酸 167.0 124.1
ヒポキサンチン 135.0 92.1
キサンチン 150.8 108.1
アデニン 134.0 107.3
グアニン 149.8 108.3


 プリン塩基の一部の検量線を図2に示します。
  アデニン   グアニン
図2 アデニン(左)およびグアニン(右)の検量線


■LC-MS/MSによる測定
  標準溶液のMRMクロマトグラムを図3に示します。また、清酒中のプリン塩基について、フリー体および過塩素酸で加水分解後のプリン塩基をLC-MS/MSにより測定しMRMクロマトグラムを図4に示しました。

  図3 LC-MS/MS測定MRMクロマトグラム
(左:最低濃度 0.1ppb、右:代表標準溶液)
  図3 LC-MS/MS測定MRMクロマトグラム
(左:最低濃度 0.1ppb、右:代表標準溶液


  図4 清酒中のプリン塩基測定クロマトグラム代表例
(左:フリー体、右:加水分解後のプリン塩基)
  図4 清酒中のプリン塩基測定クロマトグラム代表例
(左:フリー体、右:加水分解後のプリン塩基)

 清酒中のプリン塩基の分析結果は、フリー体および加水分解後のプリン体濃度ともに、数mg/100g以下の存在量でした。
 さまざまな食品中のプリン体濃度測定に、高感度・高選択性のLC-MS/MSは非常に有効な分析手法です。