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NeedlEx濃縮法による茶葉の香気成分分析
 室温で揮発する、茶葉(紅茶)の香気成分分析例を紹介します。
 紅茶は、嗜好性飲料として世界中で親しまれており、茶葉の開封時に感じるわずかな香りには、紅茶の良い香りにあたる『フレーバー』として、青葉の香り、花様の香り、果実様の香りなど、さまざまな香気成分が含まれています。
 一方、長期保存などで感じる古い茶葉の香りには、悪い香りにあたる古葉臭、むれ臭などの『オフフレーバー』が多く含まれており、これら香気成分の分析は、茶葉など食品材料の品質評価や保存性評価に有効です。

 香気成分分析では、密閉容器にサンプルを入れて一定時間後の気相ガスを分析するヘッドスペース法が一般的ですが、室温測定の場合、対象のガス成分濃度が極めて微量となるため、ガス濃縮による高感度分析が必要となります。
 一例として今回、試料濃縮用のNeedlEx注射針を用いて、室温で茶葉から揮発する微量の香気成分をガス濃縮後、代表的な香気成分のGC-MS分析をおこないました。

■分析方法
 紅茶ティーバッグの茶葉をガラス製バイアル瓶に分取して密栓後、室温で30分間静置しました。
 コンディショニング処理した試料濃縮用のNeedlEx注射針にバイアル瓶の気相ガスを通気させ、注射針の内壁に香気成分を捕集しました。
 ガス捕集後のNeedlEx注射針をガスタイトシリンジに接続してGC-MS分析をおこない(図1)、茶葉から発生する香気成分の定性分析を実施しました。

  図1 GC-MS分析風景

■分析結果
 NeedlEx濃縮法による、紅茶茶葉のGC-MSクロマトグラムを示します(図2)。
 濃縮前のヘッドスペース法と比べて、NeedlEx濃縮法では、茶葉由来の有機物ピークが明瞭に観測されました。
 NeedlEx濃縮法で得られた茶葉由来の有機物ピークのうち、代表的な香気成分についてGC-MS定性結果を示します(表1)。
 紅茶の良い香り『フレーバー』にあたる香気成分として、新鮮な青葉様の香りにあたるリーフアルデヒド(No.6)、リーフアルコール(No.7)が観測されたほか、花様の香りにあたるリナロール(No.10)、リナロールオキシドの存在が確認されました(No.9)。
 一方、今回の供試サンプルでは、古い茶葉の香りに多く含まれる1-ペンテン-3-オール(No.4)、ベンズアルデヒド(No.8)なども観測され、これら古葉臭に寄与する香気成分の存在が、『オフフレーバー』の一因になるものと推定されました。

 
  図2 香気成分分析クロマトグラム


    表1 香気成分分析結果
 
ピークNo. 保持時間 (min) 定性結果 におい質
1 1.59 2-Methylpropanal バナナ様、メロン様、グリーンモルト様
2 2.82 3-Methylbutanal バナナ様、チェリー様、
3 2.94 2-Methylbutanal 青草様、フルーティ
4 3.48 1-Penten-3-ol 古葉臭、古茶の香り
5 5.30 Hexanal グリーン様
6 6.51 Leaf Aldehyde (2-Hexenal) グリーン様、新鮮な青葉様
7 6.62 Leaf alcohol (3-Hexen-1-ol) グリーン様、新鮮な青葉様
8 8.50 Benzaldehyde ビターアーモンド、古茶の香り
9 10.38 Linalool oxide 花の香り、青葉様
10 10.58 Linalool 花(レモンローズ)の香り