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熱分解GC/MSによる樹脂中の残存イソシアネートの分析検討
 樹脂製品の中には、ポリウレタンを用いた塗料や成形品などがあります。
ウレタン(urethane)とは、カルボニル基を介してアミノ基とアルコール基が脱水縮合した化合物であり、ウレタン結合を含む物質は、 一般にイソシアネートとアルコールを反応させて合成されます。
 軟質ポリウレタンフォームなどの合成には、イソシアネート基を持つトリレンジイソシアネート(TDI)などが使用され、 このTDIは有害性の高い物質と言われています。他にイソシアネート基を持つ化合物として、ジフェニルメタンジイソシアネート やヘキサメチレンジイソシアネートなどがあります。

 樹脂中の残存TDIの分析方法として誘導体化後、HPLCまたはLC/MS分析が一般的に紹介されています。
 一方、GCまたはGC/MSは前処理は不要ですが、熱分解によるイソシアネート生成の可能性があるため用いられていません。
 今回、熱分解GC/MSによる樹脂中のTDI分析条件の検討を行いました。

■検討その1 :加熱温度域における熱分解の影響確認(標準品)
  図-1 2,4-TDI パイロライザー加熱温度の影響評価
  図-1 2,4-TDI パイロライザー加熱温度の影響評価

  図-2 2,6-TDI パイロライザー加熱温度の影響評価
  図-2 2,6-TDI パイロライザー加熱温度の影響評価

2,4-TDIおよびは2,6-TDIはいずれも400℃で熱分解を起こしていることが確認されました。


■検討その2 :実試料におけるTDI検出量の確認

  図-3 TDI GC/MS分析結果
  図-3 TDI GC/MS分析結果

 高温域での加熱時は樹脂中に含まれるウレタン樹脂の熱分解によるTDI発生が確認されました。
 一方、中温域での加熱時は樹脂中に含まれるウレタン樹脂の熱分解によるTDI発生の可能性が若干見られます。
 熱分解が起こらない低温域で確認されたTDIは、ウレタン樹脂に残存しているものと考えられます。
■結果
 検討の結果、今回の試料は分解温度を通常より低温域に設定することにより、製品中のTDIの残存量を把握できると考えられました。