

Polymer Degradation and Stabilityに掲載された論文の概要
論文タイトル
Measurement of monomers and oligomers (≤20mer) as intermediates using LC–Orbitrap MS from marine biodegradation of poly(3-hydroxybutyrate-co-3-hydroxyhexanoate) in laboratory
LC-Orbitrap MSを活用したPHBH [poly(3-hydroxybutyrate-co-3-hydroxyhexanoate)]の海洋生分解によって生じる分解中間物(モノマー~20量体)の分析
・Polymer Degradation and Stability Volume 232, February 2025, 111166
・https://doi.org/10.1016/j.polymdegradstab.2024.111166
ハイライト
- PHBHの海洋生分解によって生じる分解中間物をLC-Orbitrap MSで分析しました。
- 分解途上のPHBHフィルム表面および付着したバイオフィルムから最大11量体までの分解中間物を確認しました。
- 分解中間物におけるモノマー組成から、特定のモノマーの蓄積がないことを確認しました。
- オリゴマーの速やかな酵素分解によって生成したモノマーが、バイオフィルム内に多く存在していることがわかりました。
要約
微生物ポリエステルであるPoly (3-hydroxybutyrate-co-3-hydroxyhexanoate) (PHBH) の海洋生分解における分解中間物をLC-Orbitrap MSで検出・定量しました。
分解途上のPHBHフィルム表面に付着したバイオフィルムを溶媒抽出し、フィルム表面およびバイオフィルムから最大11量体までの分解中間物を確認しました。3回の生分解試験の結果、試験9日目における生分解度と分解中間物量は、1回目の試験では13 %と9.2 g、2回目の試験では30 %と13 g、3回目の試験では52 %と19 gでした。酵素分解と無機化速度に影響を与える微生物叢・量が試験海水間で異なったため、生分解度と分解中間物量が試験間で異なったと考えられます。また、3HBモノマー:3HHモノマー:オリゴマー(3HB換算)の比率(および総量)は、1回目の試験では67:5:28 (9.2 μg)、2回目の試験では69:5:26 (13 μg)、3回目の試験では79:7:14 (19 μg)でした。分解中間物にモノマーが多く含まれていたことから、オリゴマーが酵素分解によって速やかにモノマーまで分解されるものの、モノマーはゆっくりと無機化・代謝されることが示唆されました。間隙水(バイオフィルム内の自由水)中で検出された分解中間物はモノマーのみでした。また、試験海水において検出下限値以上で検出した分解中間物はありませんでした。
分解中間物におけるモノマー組成(3HB:3HH)は、製品中の組成と一致しており、特定のモノマーが選択的に蓄積していないことが示されました。