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学会発表

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the 39th International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants -Dioxin 2019- 参加報告
  高菅卓三
京都でDioxin2019国際会議 the 39th International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants (POPs)が開催されました。
日本での開催は12年ぶり4回目となります(過去には福岡1986、京都1994、東京2007)。京都では25年ぶりの2回目の開催です。
1997年12月に京都で開かれた地球温暖化防止京都会議、COP3(第3回気候変動枠組条約締約国会議)で「京都議定書」が採択されて22年(2005年2月発効)、その後継となる「パリ協定」が発効(2016年11月)した後のタイミングでの、環境先進都市の京都でのDioxin2019の開催には意義深いものがありました。
dxn2019_logo
開催期間:2019年8月25日〜8月30日
開催場所:国立京都国際会館(Kyoto International Conference Center)
議長:酒井伸一教授(京都大学)
主催:DIOXIN2019 国際会議組織委員会
共催:国立大学法人 京都大学、一般社団法人 日本環境化学会、一般社団法人 廃棄物資源循環学会
関連情報:http://dioxin2019.org/ をご覧ください。
【本国際シンポジウムの概要】
本会議は1980年から毎年開催されているハロゲン化残留性有機汚染物質(POPs)に関する国際シンポジウム (International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants)で通称“Dioxin 20##”と呼んでいます。
医学、薬学、化学、工学、農学、生態学などの広い分野の研究者が集い、ダイオキシン類や関連の残留性有機汚染物質(POPs)についての最新の研究成果の報告を中心に情報交換や意見交換を行い、関連の学術分野の進歩、進展に貢献することを目的とする有害化学物質汚染に関する世界的規模の国際会議です。主に、ハロゲン化残留性有機汚染物質に関する環境での存在や挙動、ヒトや生物への曝露や影響、廃棄物の分解や制御方策などを中心に学術的な議論を進めています。
今回は、日本開催ということで、日本におけるPOPs研究、制御・管理技術及び施策などを発信することを目的として、筆者も含め、多くの日本の先生方が参加され、Local Organizing Committee Membersとして、各種イベントの企画や、セッションの座長をされました。

今回の参加者は約835名、47カ国 (アジア14、EU18、北米2、南米3、オセアニア2、アフリカ中東8)からの参加がありました。
国別の参加者は、日本337 (無料参加約100名含む)、中国114, USA 45, 韓国42, 台湾34, スウェーデン29, カナダ22, ドイツ22, ベトナム18、来年開催のフランスからは15名でした。日本開催のためアジア地域の参加者が多く、EU圏や北米の参加者は少し減少しましたが、アフリカ諸国からの参加者は増加しました。

【学生セッション】
本会議に先立ち、Pre- Dioxin 2019 Student Symposiumとして学生セッションが京都大学(百周年時計台記念館)で8月24日(土曜日)に開催されました。

【オープニングセレモニー】
オープニングセレモニーでは、歌舞伎連獅子のアトラクションの後に酒井大会委員長の開催挨拶から始まり、IAB(International Advisory Board Members)のProf. Heidelore Fiedler,  Örebrorebro University (Sweden)、西脇隆俊 京都府知事、門川大作 京都市長、小野洋 環境省水・大気環境局長の挨拶もありました。
オープニングセレモニーの様子 オープニングセレモニーの様子
オープニングセレモニーの様子
【セッション】
発表演題数596題、46セッションで90名近くの参加者がセッション座長を担当されました。
Special Sessions として招待で3セッション、提案型で10セッション、特にこれらは現在のトレンドとしても重要なものと考えられます。Regular Sessionsは16の各セッションに細分化され、POPs研究に関するあらゆる分野における発表が盛り込まれました。 日本開催であることにも関連して、マイクロプラスチック問題、PCB処理の進展、カネミ油症、東アジアのPOPs(環境省)、塩素化パラフィンのセッションなどが、今回の主なトピックと言えます。
詳細は以下のサイトをご参照ください。
http://www.dioxin2019.org/scientific.html

[Special Sessions]
 Special Sessions (invited)
1. Asian POPs Monitoring
2. Status and Perspective on PCB Waste Management
3. Kanemi Yusho, Taiwan Yucheng and PCB/Dioxin Pollution

 Special Sessions(open)
1. Microplastics as Environmental Vectors for POPs and Additives
2. Chlorinated Paraffins - Pollutants of High Environmental and Health Concern
3. Dioxin Health Hazard in Vietnam
4. POPs in the Developing World
5. POPs in Pets and their Applicability as Models for Human Health
6. From Good Science to Good Risk Management
7. The Biotic Exposome of Emerging Flame Retardants in the Global Environment
8. Legacy and Emerging Flame Retardants: Biotransformation and Bioavailability
9. Flame Retardants in Human Tissues; Implications for Human Exposure
10. Large Scale Biomonitoring

[Regular Sessions]
1. Analysis
2. Levels and Trends (Abiotic)
3. Levels and Trends (Biota)
4. Levels and Trends (Foods and Feeds)
5. Fate and Transport
6. Human Exposure
7. Metabolism and Toxicology
8. Ecotoxicology
9. Epidemiology
10. Physico-chemical Properties and Modeling
11. Risk Assessment
12. Formation, Sources and Control
13. Policy
14. Microplastics and POPs
15. Flame Retardants
16. Fluorinated Organic Compounds


 【基調講演】
基調講演は、以下の6題でした。
1. Dr. David SHERR ; Boston University School of Public Health: “The AHR: A Major Player in Cancer Aggression and Immune Checkpoint Regulation”.
2. Prof. Hideshige TAKADA ; Tokyo University of Agriculture and Technology : “Hazardous chemicals in marine plastics and their threat to marine organisms”.
3. Prof. Frank WANIA; University of Toronto Scarborough : “Modelling Polychlorinated Biphenyls: Mechanistically Linking Chemical Production to Human Exposure and Health Effects”
4. Prof. Dr. Adrian COVACI ; University of Antwerp : “Human biomonitoring and exposomics of legacy and emerging chemicals”.
5. Dr. Nguyen HUNG MINH; Ministry of Natural Resources and Environment, Vietnam : “Dioxin and health effects in Vietnamese. PART 1. ENVIRONMENTAL DIOXIN IN VIETNAM”.
6. Dr. Teruhiko KIDO; Kanazawa University: “Dioxin and health effects in Vietnamese. PART 2. DIOXIN AND HEALTH IN VIETNAM”.

【サマリーセッションからの抜粋】
最近のDioxin国際シンポジウムでは、特に、より若い世代(StudentsとResearchers)に対して積極的に発表や研究を支援する体制を前面に出し、サマリーセッションでは、若手研究者から各分野のとりまとめが報告されました。

Environmental Levels;Leo W.Y. Yeung
Toxicology and Health;Hazuki Mizukawa
Analytical Chemistry;Lutz Ahrens
Risk Assessment and Exposure;Mohamed Abdallah
Contaminants of emerging concern;Anna Kärrman
Formation, Sources and Control;Takashi Fujimori

ここではそれらから、抜粋して報告いたします。

Environmental Levelsの分野では、Dr. Leo W.Y. Yeung氏より、対象の有機ハロゲンは、塩素系27%、フッ素系31%、臭素系11%、その他POPs, pseudo-POPs(疑似POPs)など31%の比率であるとの報告があり、有機フッ素化合物のテーマや課題はまだ多い事が伺えました。濃度の減少傾向が塩素系農薬、PCB, PBDE, PFOSなどで確認された報告がある一方で、塩素化パラフィンの生産量の激増(現在約200万トン/年)に伴う世界各国の母乳の汚染の初めての報告や、有機フッ素化合物では、分岐鎖や様々な代替物質 Perfluoroether carboxylate(PFECAs)などの報告があり、さらにデータを相互比較可能とするための国際相互検定や分析方法の改良なども課題として挙げられていました。

Contaminants of emerging concernの分野では、Dr. Anna Kärrman氏(10年前に京都大学にポスドクで来日しており、筆者も共同研究者として一緒に関わりました。)より、アジア地域のPOPsモニタリングの成果のセッションや、途上国のPOPs汚染の現状のセッション、さらに塩素化パラフィンについて生産量増大に伴う人への消費財からのばく露、不純物の問題、ハロゲン化アルカンについて報告があり、PFASに関してはフッ素のマスバランス調査で、未同定の多くの有機フッ素化合物の存在や多くの前駆体の存在などが報告されました。

Toxicology and Healthの分野は水川葉月准教授(愛媛大)が担当され、発表のまとめの最後にWHOが提唱する[One Health]として、Human health, Animal health, Ecosystem healthの3つの health careの相互研究やコミュニケーションの強化を強調されていました。

Analytical Chemistryの分野では、Dr. Lutz Ahrens氏が右の興味深いスライドを用いて、様々な切り口で発表事例を紹介されました。サンプリング技術では、多くのパッシブサンプラーや、Cryogenic air sampling(超低温空気採取法)についての報告があり、抽出クリーンアップ技術では、自動抽出装置の開発やハイスループットのニーズについての報告、機器分析技術では、GC×GC-QTOFやLC-QTOF、OrbitrapMS等を用いたノンターゲットスクリーニング分析等についての報告や、既知化合物、未知化合物に応じた分析のアプローチ、全有機フッ素、有機シリコン、光学異性体(enantiomers)、直接注入法などについての報告があり、QA/QC(品質管理品質保証)では、各種共同実験や国際クロスチェックについての報告がありました。 Dr. Lutz Ahrens氏 発表スライド
Dr. Lutz Ahrens氏 発表スライド
さらにFuture Challengeとして、サンプリングでは体系的な方策の必要性や、濃度変動を考慮した時間積分サンプリング、ハイスループットの前処理方法、フレキシブルな前処理方法、オンラインSPE前処理などについて、機器分析では多成分同時分析、ターゲットとノンターゲットスクリーニング分析と同時にデータ処理の改良の必要性などについての報告があり、最後に我々が調査研究している化学物質は氷山の一角であることを示すスライドで締めくくられました。

テクニカルツアーでは大阪のJESCOのPCB処理施設と舞洲の焼却施設の見学もあり、申し込みがすぐに埋まるほど大盛況でした。 スポンサーは37社(機関) Wellington Laboratories(ダイヤモンド)、Thermo Fisher Scientific, Waters corporation(プラチナ)、島津製作所、三浦工業、Cambridge Isotope Laboratories(ゴールド)他装置メーカーやプラント、PCB処理事業者などでした。

当社からは、連名を含み、7題の研究成果を発表しました。
https://www.shimadzu-techno.co.jp/news/news190820.html

筆者自身は、座長と口頭発表のほか、多くのイベントの企画・手配等に関わり、連日ハードな日々となりました。
キーパーソンに着ていただいた会議名入りの陣羽織と法被、さらに日本ならではの各種イベントは大変好評でした。

筆者はこの会議(Dioxin 20##)に30年近く参加し、参加者の中では古株ではありますが、海外からは年配の重鎮も参加されており、科学に対するする真摯な取り組みが感じられます。
この会議では、国内外の研究者とのネットワークも多数でき、最新の研究内容等の情報交換を行うことができます。特に最近は国内からの若い参加者も増え少しずつ世代交代も進んでいるようです。
今後も、グローバルネットワークを通じた国際的な活動、共同研究支援や人的ネットワークの構築維持拡大などに努めたいと考えております。
会議の様子(筆者発表)
会議の様子(筆者発表)
会議の様子(筆者座長)
会議の様子(筆者座長)
来年のDioxin2020はフランスのナント(Nantes)で2020年8月30日〜9月4日に開催されます。
最後に、本大会にご支援ご協力いただいた方々に心よりお礼申し上げます。
 
(写真 : 国見祐治)
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