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学会発表

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Dioxin2015 (35th International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants) 参加報告
  高菅卓三
dxn2015_logo  
開催期間:2015年8月23日〜28日
開催地:Hotel Maksoud Plaza, Sao Paulo-Brazil
関連情報:http://www.dioxin2015.org/ をご覧ください。
なお過去の会議情報は以下で閲覧可能です。
 http://www.dioxin20xx.org/
【本国際シンポジウムの概要】
本会議は1980年から開催されている、残留性有機汚染物質(POPs)に関する国際シンポジウムで通称“ダイオキシン20##”と呼んでいます。
例年40以上の国から800〜1000名ほどの研究者が参加します。スポンサーも30以上と、POPsに関する最大級の国際シンポジウムとなっています。
南米での開催は初めてで、サンパウロ大学の教授 (Prof. Joao Vicente de Assuncao)がSymposium Chairです。
今回は、発表演題数 約300、参加者350名程度と、南米開催のためか例年より少な目でした。アジア地域からの参加は相対的には多かったような印象ですが、日本からは30人弱と少なく、中国からは30名程度、ベトナム25名程度、韓国10名程度が参加していました。
会議の様子
会議の様子
【基調講演】
基調講演は、以下の5題がおこなわれました。
・The process and the status of recent evaluations with respect to POPs.
 (POPsに対するWHOの最近の評価の取り組み)
・POPs and Endocrine Disruption: Hidden Threats to Birds - A History of Organochlorine Contamination.
 (鳥類へのPOPs及び内分泌かく乱物質の脅威、有機塩素化合物汚染の歴史)
・Chiral Chemicals as Tracers of Atmospheric Sources and Fate Processes in a World of Changing Climate.

 (気候変動分野における大気発生源と運命プロセスのトレーサーとしての光学異性体)

・The Evaluation Process of New POPs

 (New POPsの評価プロセス)

・Risk-benefit Situation of POPs Contamination of Human Milk Worldwide.
会議の様子
会議の様子

 (世界における母乳のPOPs汚染に関するリスクとベネフィット)

このうち、鳥類へのPOPs及び内分泌かく乱物質の脅威についての講演では、DDTなどの影響で卵の殻が薄くなり雛がかえらないため、個体数が減少していることが示されました。
また、世界における母乳のPOPs汚染に関するリスクとベネフィットについての講演では、母乳は赤ちゃんの健康に必要であるとの判断が示されました。

【主なトピック】
発表は11のトピックスに分けられ、9つのスペシャルセッションが企画されました。
http://dioxin2015.org/program_topics.php

 1. Advances in the Toxicology and Epidemiology of POPs/POPsの毒性学と疫学の進歩
 2. Analytical, Screening and Confirmatory Methods/ 分析、スクリーニングおよび確認方法
 3. Contaminated Sites: Cases, Remediation, Risk and Policy/ 汚染サイト:ケース、修復、リスクと政策
 4. Exposure to POPs in the urban, Indoor and in Workplace Environments/ 都市、屋内および職場環境でのPOPへの暴露
 5. Global Fate & Long Range Transport/ グローバルなゆくえと長距離輸送
 6. Levels in the Environment, Fate and Transport/ 環境のレベルと輸送とゆくえ
 7.POPS in Diet: Evaluation, Trends, and Risks/ 食事中のPOPS:評価、動向、およびリスク
 8. Risk Assessment, Management, and Regulation/ リスク評価、管理、および規制
 9. Sources, Inventories, Emission Prevention and Control, BAT & BEP/発生源、インベントリー、排出抑制管理、BAT&BEP
 10. Wildlife Toxicology and Exposure to POPs, and Environmental Distribution/野生生物の毒性とPOPへの曝露、および環境分布
 11. Chiral compounds, and POPs in the Developing World/光学異性体および発展途上国のPOP
 12.Others and Special Sessions

スペシャルセッションは以下の内容です。
 SS1 -環境中の難燃剤のソース、レベルと運命
 SS2 -持続可能な生産と利用
 SS3 - GRULAC地域(Latin American and Caribbean countries)における残留性有機汚染物質(POPs)と緊急対策の必要な化合物
 SS4 -POPsモニタリングのためのパッシブサンプリング
 SS5 -遠隔地でのPOPs
 SS6 -土壌や底質
 SS7 - DDTおよび関連化合物の環境・健康影響
 SS8 -非意図的生成のPOPs
 SS9 -ベトナムにおけるダイオキシンの現状と管理
SS1の環境中の難燃剤についてのセッションでは、途上国での臭素系難燃剤使用廃棄物リサイクルについての話題や野焼き過程でのPBDD/DFの汚染リスクについての話題の提供がありました。
SS4のパッシブサンプリングのセッションでは、途上国では経費削減に有効なため、パッシブサンプリングが普及していることが示されました。著者も、大気中のPOPsのアクティブおよびパッシブサンプリング方法の詳細な評価についてポスター発表を行いました。
SS8の意図的生成のPOPsのセッションでは、PCBを中心とした非意図的生成のPOPsについての発表がありました。著者も、非意図的生成のPCB#11が環境大気中で主要な異性体として存在している事実についての口頭発表を行いました。
会議の様子
会議の様子(筆者発表)
その他、スクリーニング分析、少量試料、高感度、高分解能、ハイスループット分析がテーマの発表が多数ありました。
機器分析技術では、GC-HRMSの代用の可能性のある各社のGC-MS/MS、TOF-MS技術、APGC (Waters)、新たにGC-MSに応用したOrbitrap MS (Thermo)、LC-APCI-TOF-HRMS等の発表などがありました。
【サンパウロについて】
サンパウロは、日本の裏側にあり、飛行機の移動だけでも30時間、door to door で40時間近く要します。
海抜800mもあり、高地で今回は雨が意外に多く、朝晩は寒いほどでした(南半球のため季節は冬です)。南東の海側には山脈があり更に標高が高いため、川は内陸側へ流れていき、最終的にはアルゼンチンの川に合流して太平洋に流れます。下水処理が十分に整備されていない模様で、川はよどんでいて、少し下水臭がしていました。リオデジャネイロオリンピックのヨット競技場の湾内の水質汚染で、選手が下痢を起こすことが問題になっている模様です。 町には危険なエリアもあり、路地を入ると要注意です。参加者の中には地下鉄でスリの被害や、スマートフォンが盗まれた方もいました。

  会議の様子
Hotel Maksoud Plaza
  会議の様子
Catedral Metropolitana (サンパウロ観光名所)
【その他】
筆者はこの会議(Dioxin 20##)に20年以上連続参加し、参加者の中では古株です。この会議では、国内外の研究者とのネットワークも多数できており、最前線の研究活動や情報交換を行うことができます。今後も、グローバルネットワークを通じた国際的な共同研究や人的ネットワークの維持拡大などに努めたいと考えております。
なお、会議では、Dioxin2019が京都で開催されることが正式に決定しました。日本での開催は4回目(1986年福岡、1994年京都、2007年東京)、京都での開催は25年ぶりになりますので、地元企業としても積極的に運営の支援をしていきたいと考えております。
(写真 : 国見祐治)
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