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網羅的なタンパク質同定(ショットガンプロテオミクス)

概要

 ショットガンプロテオミクスは、高感度質量分析技術(LC-MS/MS)とデータベース検索により、試料中のタンパク質を網羅的に同定する手法です。組織抽出液や体液などに含まれるタンパク質1000種以上の一斉同定が可能であり、発現プロファイルの解析に適しています。

●   解析の原理

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  • 通常のタンパク質は分子量が大きく、そのままでは良好なMS/MSスペクトルが得られないため、トリプシンなどの酵素処理によってペプチド断片にします。
  • 得られたペプチド断片を質量分析により解析し、ペプチド質量およびフラグメントイオンのスペクトルデータを取得します。
    LC-MS/MSを用いて分離を同時に行うため、多数のペプチドについて高精度の質量情報を得ることができます。
  • 質量分析により得られたスペクトル情報をもとにデータベース検索(Mascot)を行い、各ペプチド断片の配列同定とタンパク質同定を行います。

ショットガンプロテオミクスでは、上記の工程を組織抽出液や体液などのタンパク質混合試料に対して行うことで、試料中のタンパク質1000種以上を一斉に同定します。

分析・試験方法

仕様

ダイレクトフローnanoLCシステム Easy-nLC 1000TM (Thermo Fisher Scientific)
液体クロマトグラフ質量分析計 Q Exactive Plus (Thermo Fisher Scientific)
解析ソフトウェア:Proteome Discoverer (Thermo Fisher Scientific)
検索エンジン:Mascot (Matrix Science Inc.)

サンプル関連情報

解析対象サンプル 組織・微生物・植物などからのタンパク質抽出液、体液、培地 など
 *抽出・精製等の前処理も承っておりますのでご相談ください。
必要タンパク質量 20 μg 以上
  *アルブミンなどメジャータンパク質が含まれる血漿サンプルなどの場合は、総タンパク質量で50μg 以上をご提供ください。

<ショットガンプロテオミクスの際にご提供いただく情報>

生体サンプル中の感染性病原体の有無
サンプル種(タンパク質抽出液、体液、培地など)
生物種情報
ご提供可能な総タンパク質量(溶液の場合、タンパク質濃度もご提供ください)
溶液の場合は溶液組成、乾燥品の場合は乾燥前の溶液組成
培養条件(血清使用の有無など)
メジャータンパク質(IgG, アルブミンなど)除去の有無 など

<サンプル調製時の注意事項>

不要な凍結融解はお控えください。
タンパク質定量はBradford法、Lowry法等お客様の可能な方法で行ってください。
  *測定も承っております。

以下の場合には別途解析費用が必要になります。 

タンパク質抽出液ではなく、組織そのものをご提供いただく場合
アルブミン・IgG除去を希望される場合
タンパク質定量を希望される場合
高濃度の塩が含まれており、限外ろ過などの前処理が必要な場合

関連情報

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