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網羅的なタンパク質発現量比較解析(TMT解析)

概要

 近年、高感度質量分析によるプロテオーム解析が発展しており、その中でも疾患や細胞刺激など群間でのタンパク質発現量の比較解析の必要性が高まっています。 当社では二次元電気泳動試験の他、Tandem Mass TagTM試薬(TMT)による、各種生体サンプルのタンパク質抽出物における網羅的発現量比較解析の受託サービスを行なっています。

分析・試験方法

TMT解析

 安定同位体標識 Tandem Mass TagTM試薬 (TMT試薬)と高感度質量分析器を用いることで、
 1000種以上のタンパク質の網羅的同定と、各タンパク質の群間での発現量比較解析(相対定量)を同時に行うことが可能です。

●   解析の原理

【Tandem Mass TagTM (TMT) 試薬】

 最大10種類の異なる生体サンプル中のすべてのペプチドの第一級アミンを同時にラベルし、
 MS/MSスペクトルから相対定量を可能にするアミン特異的な安定同位体試薬です。

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 各分子にはいずれも13C×4, 15N×1が含まれており、1分子あたりの質量は全て同じです。
 一方、レポーター部に含まれる13C, 15N数が違うため、各レポーター部の質量は異なっています。

【解析フロー:TMT sixplex Reagents による6検体の網羅的タンパク質発現量比較】

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それぞれのTMT試薬でラベルされた同一ペプチドは同じ質量であるため、MSスペクトルのシグナル強度が上昇します。
一度の解析で1000以上のタンパク質の同定および網羅的発現比較が可能であり、バイオマーカー解明のための探索やバリデーションなどに用いられています。

 

仕様

ダイレクトフローnanoLCシステム Easy-nLC 1000TM (Thermo Fisher Scientific)
液体クロマトグラフ質量分析計 Q Exactive Plus (Thermo Fisher Scientific)
解析ソフトウェア:Proteome Discoverer (Thermo Fisher Scientific)
検索エンジン:Mascot (Matrix Science Inc.)

 

サンプル関連情報

解析対象サンプル 組織・微生物・植物などからのタンパク質抽出液、体液、培地 など
 *抽出・精製等の前処理も承っておりますのでご相談ください。
必要タンパク質量 100 μg 以上

<TMT 解析の際にご提供頂く情報>

生体サンプル中の感染性病原体の有無
サンプル種(タンパク質抽出液、体液、培地など)
生物種情報
ご提供可能なサンプル量(溶液の場合、タンパク質濃度もご提供ください)
溶液の場合は溶液組成、乾燥品の場合は乾燥前の溶液組成
培養条件(血清使用の有無など)
メジャータンパク質(IgG, アルブミンなど)除去の有無
比較解析群情報

<サンプル調製時の注意事項>

不要な凍結融解はお控えください。
タンパク質定量はBradford法、Lowry法等お客様の可能な方法で行ってください。
 *測定も承っております。
以下の場合には別途解析費用が必要になります。
タンパク質抽出液ではなく、組織そのものをご提供いただく場合
アルブミン・IgG除去を希望される場合
タンパク質定量を希望される場合
高濃度の塩が含まれており限外ろ過などの前処理が必要な場合

関連情報

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