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        排ガス中の水銀の分析
法規制・規格
 『水銀に関する水俣条約』の採択を受けて、大気汚染防止法の一部を改正する法律等※が公布され、排出ガス中の水銀測定法(平成28(2016)年9月26日環境省告示第94号)、排ガス中の水銀の排出基準が定められました(施行は平成30(2018)年4月1日)。
 平成29年5月18日付けで、「水銀に関する水俣条約」の締約国数が我が国を含めて50か国に達し、規定の発効要件が満たされたため、本条約は本年8月16日に発効することが決定しました。これにより、今後、水銀の排出規制、水銀使用製品の製造・輸出入等の規制が開始されます。
 改正後の大気汚染防止法(改正法)において、国内の約8割のばい煙発生施設が規制対象施設となります。
■水銀に関する水俣条約とは?
 『水銀に関する水俣条約』とは、水銀の採掘から流通、水銀添加製品や製造工程での水銀利用、大気への排出や水・土壌への放出、水銀廃棄物に至るまで、水銀のライフサイクルにわたる適正な管理と排出の削減を定め、水銀が人の健康や環境に与えるリスクを低減することを目的とした条約です。
 平成25(2013)年10月に熊本市・水俣市で開催された外交会議において、採択・署名が行われました。平成29(2017)年5月18日に、条約の発効要件である締約国数が50か国に達し、平成29(2017)年8月16日に発効することが決定しました。
 水銀は毒性の強い元素で、特にメチル水銀は体内に取り込まれて極めて強い神経毒性を示し、水俣病の原因ともなりました。また、近年では低濃度ばく露による胎児や子供の発達などへの影響なども懸念され、 メチル水銀の多い種類の魚を食べすぎないよう、妊婦にたいして注意喚起が行われているところです。一方、金属水銀は常温で液体の形で存在し、金を溶かしてその精製に使えるなどの特徴をもち、古くから様々な目的で使われてきました。さらに、 石炭燃焼などにともない大気中に放出されることも知られています。
 こうした人間活動に伴う環境放出の結果、現在の環境中を動き回る水銀の量は、産業革命以前に比べて3倍程度にまで増えたと推測されています。一度環境に放出された水銀は大気や水を経由して地球全体に広がり、生物の活動で毒性の強いメチル水銀に姿を変えて生物に吸収され、やがて食べ物を通じて私たちの体に入って蓄積し、悪影響を及ぼすことが懸念されています。
■排ガス中の水銀測定法(告示法*)
・測定対象は、全水銀(ガス状水銀及び粒子状水銀)で、バッチ測定で行う。
・分析方法
ガス状水銀:湿式吸収-還元気化原子吸光分析法
粒子状水銀:湿式酸分解法-還元気化-原子吸光法または加熱気化-原子吸光法
・測定頻度
排出ガス量が40,000m3/h以上の施設:4ヶ月を超えない作業期間ごとに1回以上
排出ガス量が40,000m3/h未満の施設:6ヶ月を超えない作業期間ごとに1回以上
専ら銅、鉛、亜鉛の硫化鉱を原料とする乾燥炉、専ら廃鉛蓄電池又ははんだを原料とする溶解炉:年1回以上
* 排出ガス中の水銀測定法(平成28(2016)年9月26日環境省告示第94号)
■対象施設と排出基準
| 対象施設 | 大気汚染防止法の 水銀排出施設 | 施設の規模・要件 | 排出基準(注1)(μg/Nm3) | ||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 新規施設 | 既存施設(注2) | ||||||||||||||||||||||||||||
| 石炭火力発電所 | 石炭火力発電所 | 
 | 8 | 10 | |||||||||||||||||||||||||
| 小型石炭混焼ボイラー(注4) | 10 | 15 | |||||||||||||||||||||||||||
| 非鉄金属(銅、鉛、亜鉛及び工業金)製造に用いられる精錬及び焙焼の工程 | 一次施設 | 銅又は工業金 | 金属の精錬の用に供する焙炉、焼結炉 (ペレ ット焼成炉を含む。)及び煆焼炉/金属の精錬の 用に供する溶鉱炉(溶鉱用反射炉を含む。)、転 炉及び平炉: 
 
 銅、鉛又は亜鉛の精錬の用に供する焙焼炉、焼 結炉(ペレット焼成炉を含む。)、溶鉱炉(溶鉱用 反射炉を含む。)、転炉、溶解炉及び乾燥炉: 
 | 15 | 30 | ||||||||||||||||||||||||
| 鉛又は亜鉛 | 30 | 50 | |||||||||||||||||||||||||||
| 二次施設 | 銅、鉛又は亜鉛 | 100 | 400 | ||||||||||||||||||||||||||
| 工業金 | 30 | 50 | |||||||||||||||||||||||||||
| 廃棄物の焼却設備 | 廃棄物焼却炉(一般廃棄物/産業廃棄物/ 下水汚泥焼却炉) | 
 | 30 | 50 | |||||||||||||||||||||||||
| 水銀含有汚泥等の焼却炉等 | 水銀回収義務付け産業廃棄物(注5)又は水銀含有再生資源(注6)を取り扱う施設(加熱工程を含む施設に限る。)(施設規模による裾切りはなし。) | 50 | 100 | ||||||||||||||||||||||||||
| セメントクリンカーの製造設備 | セメントの製造の用に供する焼成炉 | 
 | 50 | 80 | |||||||||||||||||||||||||
| (注1) | 既存施設であっても、水銀排出量の増加を伴う大幅な改修(施設規模が5割以上増加する構造変更)をした場合は、新規施設の排出基準が適用される。 | 
| (注2) | 施行日において現に設置されている施設(設置の工事が着手されているものを含む。) | 
| (注3) | バーナーの燃料の燃焼能力を重油換算で表したもの | 
| (注4) | バーナーの燃焼の燃焼能力が重油換算10万L/時未満のもの | 
| (注5) | 水銀回収義務付け産業廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令で規定されている。 | 
| (注6) | 水銀含有再生資源は、水銀による環境の汚染の防止に関する法律で規定されている。 | 
| (注7) | 原料とする石灰石1kg中の水銀含有量が0.05mg以上であるものについては、排出基準は140μg/Nm3。 | 
■当社の特徴(排出ガス中の水銀測定)
当社では、告示法に基づく多数の測定実績があります。また、告示法に定められたバッチ測定に加えて、連続測定についてもガス状水銀を0.1~999.9μg/m3の範囲で測定(1秒毎)可能です。さらに、金属水銀(Hg0)と酸化水銀(Hg2+)との形態別測定も可能です。
 
水銀連続測定装置
■測定対象媒体
 排ガス以外にも様々な媒体中の水銀測定が可能です。
※設置届出の際に必要な原材料中や燃料中の水銀等の含有割合(焼却施設の場合は廃棄物中の水銀等の含有割合)の測定も可能です。
・原材料、燃料
・廃棄物(燃え殻・ばいじん・汚泥)
・排水、プロセス水
・水質、底質等の環境試料
・その他(ご相談ください)
当社では、豊富な測定実績から、施設の稼働条件・測定箇所・燃焼物に適した採取方法等、お客様のニーズに合わせたご提案が可能です。
 排ガス中の水銀分析は、ぜひ当社にご用命ください。
※ 大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成27(2015)年6月19日法律第41号)
大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令(平成28(2016)年9月7日政令第299号)
大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成28(2016)年9月7日政令第298号)
大気汚染防止法施行規則の一部を改正する省令(平成28(2016)年9月26日環境省令第22号)
排出ガス中の水銀測定法(平成28(2016)年9月26日環境省告示第94号)
20180219
 
            